新しい働き方とは、「時間に対する考え方」を変えることRe:Work !(2/3 ページ)

» 2013年11月25日 11時00分 公開
[三河賢文,Business Media 誠]

空き時間を使って趣味を収入へとつなげる

 なぜ私が、このPIXTAに興味を持ったのか。それはよくあるクラウドソーシングともまた異なる形で、人々がインターネット経由で収入を得る手立てを実現させているからだ。

PIXTAのトップページ画面

 まずは、PIXTAについて簡単に紹介しておこう。運営元のピクスタは2005年に誕生した。PIXTAは起業から1年の準備期間を経て誕生したWebサイトである。このサイトでは一般ユーザーが登録を行うことで、自身の撮影した写真や動画、あるいはイラストをサイト内で販売できる。

 既に12万人以上のクリエイターが登録しており、対して購入者もまたそれを上回る13万名以上いる。販売されている商品点数は、2013年10月末現在で下記の通りだ。

  • 写真:501万8834点
  • イラスト:77万133点
  • 動画:25万4869点

 なお同時点で過去に購入された写真点数は、104万4298点に及んでいる。つい先日シンガポールへの法人設立を発表しており、海外進出を始めたところだ。

 もちろん、以前から「ネット上で写真を販売できるサービス」があることは知っていた。実際に私も会社員のころ、LP制作で同様のサービスから写真を購入したことがある。しかし当時はそこまで大規模ではなく、いわゆる一般人が登録し販売を行おうという発想にはならなかった。

 強い興味を持ち、実際にピクスタへ話を聞きに行ってみたのだが、現在の登録者はやはりプロだけではないという。よく子どもの運動会や休日の動物園などで、一眼レフのデジタルカメラを片手に写真を撮っているお父さん。そんな人々も、PIXTAでは“販売者”になりうるのだ。

 彼らの多くは、恐らく会社員だろう。では、いつ販売用の写真を撮っているのか? それは、休日などの“空き時間”である。つまりこれまでと同じ働き方を維持しながら、“空き時間”を活用してプラスαの収入を得ているといこと。もしかしたら、その経験と実績が新しいキャリアへとつながる可能性もあり得るだろう。

PIXTA誕生の背景

 PIXTA誕生のキッカケは、2004年に偶然見つけた写真の投稿掲示板だったという。そこには、何百人ものアマチュアカメラマンによるクオリティの高い写真多数アップロードされていた。

 「世の中に新しい価値を提供したい」

 当時そんな思いを抱いていた、ピクスタ代表の古俣大介さん。掲示板の写真を見て、それらが商業用としても十分に通用すると確信したそうだ。実際にアマチュアカメラマンたちは、自分たちの写真を発表する“場”を求めていた。しかし残念ながら、当時その「受け皿」はどこにも存在していなかったのである。そこで彼らの余りある才能に活躍の場を作ろうと誕生したのが、「PIXTA」だ。

ピクスタの古俣大介代表

 当初はまず購入者を得るために、素材を提供してくれるクリエイターの募集に腐心したという古俣さん。当時斬新だったPIXTAのサービスは投資家からの理解も得づらく、資金繰りも困難を極めた。

 「インターネットでフラットな世界を作る」

 というビジョンのもとに、少しずつ成長を続けてきたPIXTA。現在の規模は先にご紹介した通りだが、古俣さんの目は確かだったといえるだろう。私も仕事柄写真を撮る機会が多いのだが、使わずに埋もれている写真は山ほどある。自身のWebサイトで紹介するにとどまっているこの写真たちも、PIXTAによって日の目を見る機会があるかもしれないのだ。

 「これまでは自分の才能やセンスを生かしたいと思っても、狭い世界の中での限られた方法しかありませんでした。しかしそこにインターネットが登場し、物理的な制約を受けずにあらゆる取引やマッチングの場をインターネット上に再構築することが可能になったんです。インターネットを最大限活用し、経歴や経験、コネ、距離、時間など、既存の枠組みにとらわれずに才能やセンスを生かしてチャレンジできる。そしてそれを自由に活用できる、オープンでフラットな世界を作り出すことを実現したいと思っています」(古俣さん)

 そんな古俣さんの思いは、自らを表現しきれずに燻っていたクリエイターに、1つの光を見せてくれたのではないかと感じる。

給与並の売上を上げるアマチュアカメラマン

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