守るべきは、たった7つの価値観――“自由主義のチーム”で圧倒的成功を目指すUZABASEの組織論(1/2 ページ)

仕事とプライベート両方で「幸せ」を追求する―そんな生き方に挑戦している『UZABASE』代表の梅田優祐氏。社員全員が同じように自由に働けて、その上でビジネスで圧倒的な成功を収める組織を目指しているという。この「自由」をベースにした組織論に迫る。

» 2013年12月04日 11時00分 公開
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 美しい海と山にかこまれた町、神奈川県の葉山で暮らす「UZABASE」代表の梅田さん(12月3日の記事参照)。家族との時間を大切にしつつ、東京で働く。その生活のサイクルによって仕事の生産性も向上したいう。

 しかもそうした「自由」な働き方は、梅田さんだけが実践しているわけではない。UZABASEの社員全員が実践できる組織にしているという。

 驚くべきは、その自由な働き方をするチームで、圧倒的な成長性が期待されるサービスを生み出していること。UZABASEが仕掛けるビジネス情報インフラ「SPEEDA」は、各方面から支持を集め、大手企業での導入も相次いでいる。

 彼らは「自由」をベースとしたチームで、いかにして成功を目指しているのだろうか?

「自由な働き方がよしとされる文化」をつくる

―― 葉山に暮らしながら東京で働く――。そんな理想的な働き方に挑戦している梅田さんですが、いちサラリーマンには難しい働き方だとも感じてしまいました。

梅田優祐氏(以下、梅田氏): 「どんな組織で働くか?」という部分に拠るところが大きいかもしれません。少なくともUZABASEでは、私だけが特別というわけではなく、社員みんなが自由な働き方を選べるようにしています。

 群馬からきているメンバーもいるし、筑波からきているエンジニアもいる。逆に東京に住んで、遅くまで仕事をしてから朝方まで飲む人もいます(笑)。それはそれで、昼過ぎから出勤してOKになっていますね。

―― 勤務時間は定めていないんですか?

梅田氏: 勤務時間も決めていないし、出社義務もないですね。もちろん服装は自由だし、サンダルで仕事をしている人もいます。結果を残していれば、好きにやってくれていい。外国人エンジニアも働いてくれていますが、「自由にやらせてもらえるところがいい」と言って来てくれる人も多いですね。

 ただ、例えば新卒社員など、その自由が重荷になるケースもあります。そういった場合は、きちんとプロセスを管理するようにしていますね。

―― そういった組織を成り立たせるための条件はあるのでしょうか?

梅田氏: 2つあって、まずは徹底的に結果にこだわること。それぞれのメンバーがマイルストーンを決めて、必ずコミットしたところまでやる。その結果はシビアに見ていきますね。

 加えて、他のメンバーが今どんなことをやっているのか? 部署をこえて、オープンにシェアするようにしています。そうすることでフェアネスを担保することができるんです。

 例えば、管理部のメンバーは仕事柄、出社時間が固定化され、在宅勤務が難しいケースも多いです。ともすればフレキシブルに働く技術職の社員に不満を抱きかねません。でも、彼らがどんな仕事をしているか正しく分かっていれば、そうした不公平感はなくなりますよね。

 もう1つ、自由な組織を成り立たせる条件としては、性善説に立ってすべての物事を考えることが大事です。すごく細かいことですが、起業してから今までスタッフが申請してきた経費に関して、詳細を確認したことがないんですよ。ちゃんと自分で考えて申請してきているはずだ、と考えているからです。

 「うちの社員は、何をすべきか自ら考え、判断できる」と、性善説にたって信じないと、自由な経営は成り立ちません。というより、性善説にたつ以外の選択肢はあり得ません。

―― メンバーを信頼して、判断を委ねていく。経営者として簡単なことではないですよね。

梅田氏: 正直、就業規則をキッチリ決めて、管理したほうが経営という側面からすればすごくラクだし、効率がいいんです。でも、そうはしたくない。そこにイノベーションが生まれる雰囲気はないからです。それに何より、働いていて楽しくないですよね。

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 イノベーションを起こす。楽しく働く――。この大前提の目的を忘れたくないんです。

守るべきは、たった7つの価値観だけ

―― お話を伺っていると、組織的に非常に上手くいっているように感じます。

梅田氏: そうですね、ただもちろん問題がないわけではありません。

 UZABASEはベンチャーでありながら誰も辞めていないことが自慢だったんですが、一時期、少しずつ退職者が出たり、何となく会社への陰口が聞こえてきたり、内部から崩壊し始めているんじゃないか? と感じたことがありました。

 人数の少ない創業当時だったら、「なぜ会社がこういうことをしているのか?」と、一人ひとりと話せばよかったんですが、社員の数も増えてきて、そうもいかなくなってきた。自由であることの副作用として、みんながバラバラな方向を向きはじめてしまっていたんです。

 それで、会社として大切にする価値観を再定義し、必ず守るべき7つの価値観として明文化しました。

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