スマホ二刀流で電話代を節約する方法「格安SIMカード」は仕事に使えるか? 第1回(2/2 ページ)

» 2013年12月04日 10時00分 公開
[小林誠,Business Media 誠]
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なぜ格安SIMサービスを提供できるのか?

 では改めて、格安SIMとは何なのかについて触れていこう。スマホには「SIMカード」と呼ばれる通信用ICカードが入っている。このSIMカードのおかげで、私たちはドコモやau、ソフトバンクモバイルの通信ネットワークにつながるわけだ。その対価として私たちは通話料とパケット通信料を支払っている。

 格安SIMサービス提供事業者は、大手通信事業者からネットワークを借りてサービスを展開している。ユーザーサポート体制を整える必要はあっても、莫大なコストがかかる設備投資分を回収する必要はないのでサービス全体としては安価に提供できるというわけだ。

主な格安SIMサービス提供事業者と個人向けサービス
格安SIMサービス提供事業者 提供サービス名
ASAHIネット ASAHIネットLTE
NECビッグローブ BIGLOBE LTE
NTTコミュニケーションズ OCNモバイル ONE
NTTぷらら ぷららモバイルLTE
So-net So-net モバイルLTE
TikiTiki TikiモバイルLTE ライト
U-NEXT U-mobile*d
インターネットイニシアティブ IIJmio高速モバイル/Dサービス
ウォルト・ディズニー・ジャパン ディズニー・モバイル・オン・ソフトバンク
エキサイト BB.exciteモバイルLTE
ドリーム・トレイン・インターネット ServersMan SIM
日本通信 スマホ電話SIM、b-mobile
ハイホー hi-ho LTE typeDシリーズ
楽天ブロードバンド 楽天ブロードバンドLTE
総務省や各社のサイトを基に、主な格安SIMサービス提供事業者と個人向けサービス名を挙げてみた。ディズニー・モバイルのようにSIMカードをユーザーが自由に挿せないものや、法人向けに高速データ通信だけを提供するものも存在する。

 格安SIMサービスが始まった当初は事業者が少なく、マニアックで上級者向けという印象もあった。現在では事業者が増えて競争が激化。安さだけでなく、使い方を分かりやすく解説する事業者も増え、ライトユーザーにも広がり始めている。

 そのため、携帯電話会社とサービス面での差別化を計るために通信速度を抑えたり、高速通信ができる最大通信量を少なめにしたりすることで通信料金を安くしている。また単純に通信速度を抑えるだけでなく、高速通信が毎日少しずつ使える料金プランや、高速通信を使いたいときだけオプションの利用料を払うプラン、1つの契約で複数のスマホが使えるといったサービスもある。

 以下に人気のある格安SIMサービスを取り上げてみた。これだけでもサービス内容がさまざまだと分かる。一般的に高速通信が使えるプランでは通信量に上限があり、それを超過すると低速通信になる。また、高速通信を提供しないプランは使い放題であることが多い。

主な格安SIMサービスの詳細
事業者 NTTコミュニケーションズ U-NEXT エキサイト
サービス(プラン)名 OCNモバイル ONE U-mobile*d BB.exciteモバイルLTE
月額料金(税込み) 980円〜 714〜2079円ほか 892円、1155円ほか
最大通信速度 112.5Mbps 112.5Mbps 150Mbps
速度制限上限 30Mバイト/日ほか 3Gバイト 500Mバイト
特徴 高速通信を1日30Mバイトずつ使うことが可能。速度を500kbpsに抑え月7Gバイトまで使えるプランなど数種類ある。 高速通信を1Gバイトまで714円で使える。それ以上になると3Gバイトまで2079円の2段階プラン。一定額のプランもある。 3GのSIMを3枚セット(サイズ選択可)で提供するなど6コースを用意し、多彩な使い方に応える。

主な格安SIMサービスの詳細(続き)
事業者 ドリーム・トレイン・インターネット 日本通信 楽天ブロードバンド
サービス(プラン)名 ServersMan SIM LTE スマホ電話SIM フリーData 楽天ブロードバンドLTE エントリープラン
月額料金(税込み) 490円 1638円 875円
最大通信速度 150kbps 200kbps 112.5Mbps
速度制限上限 なし なし 300Mバイト
特徴 通常は150kbpsで通信し放題だが、有料オプションで高速通信に変更が可能。 通話も可能。高速通信は3Gバイトまで+月1638円。あるいはオプションで100/500Mバイトずつの購入も可能。日本通信は他にも多くの格安SIMを用意している。 5種類のプランを用意し、最安が本プラン。300Mバイトまでの高速通信が可能で、オプションで追加購入もできる。

格安SIMが増えたのは中古スマホ、SIMフリースマホのおかげ

 格安SIMの需要が増えたもう1つの理由は、SIMカードを挿しやすいスマホが増えたからだ。ちょっと前までSIMフリーのスマホといえば、海外メーカーの端末を国外で購入するか、国内でも一部のガジェット好きのための限られた販路を通じてしか入手できなかった。ところが近年、日本の携帯電話市場もSIMロックを解除する方向に動いている。

 また、現在の格安SIMサービス提供事業者の多くはドコモのネットワークを借りている。そして、ドコモで使えるスマホが増えたことで「白ロム」と呼ばれる中古スマホも多く流通している。中古とはいえ最近のスマホは性能も良く、気軽に買ってSIMを挿せるようになった。

 さらに始めからSIMフリーで売られるスマホも増えている。記憶に新しいところではGoogleのNexus 5とアップルのiPhone 5s/5cだ。どちらもオンラインストアで誰でも購入できるようになった。このSIMフリースマホにもMVNOの格安SIMカードを挿して使える。

 さらにスマホだけでなく、LTE対応タブレットや一部のフィーチャーフォンにも、格安SIMが挿せるようになりつつある。格安SIMサービスによっては公式サイト上に動作確認済みの端末を発表しているところもある。もちろんネット上には多くのユーザーの「○○に格安SIMを挿して使ってみた」という報告がある。気になる端末があったら検索してみるとよいだろう。

格安SIM SIMを挿せるドコモのスマホ、あるいはSIMフリーのスマホがあれば、あとは格安SIMを入手するだけ。ただしSIMの大きさが違うので事前に確認が必要だ。現在の主流はmicroSIM(左のXperiaのもの)だが、最新のAndroidスマホの一部やiPhone 5s/5cはもっと小さいnanoSIM(右のiPhoneのもの)が使われる。また古い端末では標準型の大きいSIMの場合もある(中央に置かれているSIM)。

 次回は「初期設定」について。もちろん定番アプリもインストールしてみる。果たして通信速度は? 通信量は? アプリのインストールだけで通信量が上限に達してしまうことはあるのか? そんな疑問に答えたいと思う。お楽しみに。

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