入社1年目は「プロとしての姿勢」をつくる選ばれ続けるリーダーの条件(2/2 ページ)

» 2013年12月20日 11時00分 公開
[山元賢治,Business Media 誠]
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上からも下からも問われるのが2年目

 入社2年目が、ビジネスマンとしての本当の1年目です。

 入社2年目に入る4月1日にどう思うかで、その後のビジネスマン人生が決まると言っても過言ではないでしょう。1年目と2年目は、まるで意味が違います。なんとなく2年目に入るのではなく、覚悟を持って2年目を迎えるべきです。

 まず違うのは、後輩が入ってくるということ。場合によっては、マスターコース上がりで自分より給料が高い後輩が入ってくることもあります。それまでに世の中で経験していない、社会での秩序に入ることになります。

 ここで、背筋が伸びるような緊張感が出るのが普通です。

 緊張感を持てないのは、おそらくまだ学生気分が抜け切っていない人でしょう。会社に後輩が入ってくることを、学生時代に後輩が入ってくるのと同じように考えてしまっています。

 学生時代なら、先輩風を吹かせていれば自分の優位性を保つことができます。しかし、会社という実力社会では先輩風を吹かせたところで役に立ちません。2、3回飲み会やカラオケに行っておごったところで、実力がなければすぐに見透かされます。

 2年目からは、下から見られる立場になります。会社としても給料12力月分の力がついていることを期待しますし、新入社員もそのような目で見ます。1年目に何をやってきたかが、上からも下からも問われるのが2年目です。

2年目は、追い抜かれる対象になる

 また、2年目からは下から追い抜かれる立場になります。しかも、抜かれるときは一瞬で抜かれます。これが社会のルールです。1年目にはこうした緊張感はありません。力が一番下でもしょうがないと思われていますし、自分をそのように甘やかすこともできます。

 しかも、自分の2年目が終わる頃には、新入社員も1年目を終えています。新入社員が入ってきたとき、会社で過ごした時間は0カ月で自分は12力月。それが1年経つと12力月と24力月になります。0対12と12対24は、まったく違います。

 実際に、伸びる力を持った新入社員は、1年後に何人もの先輩を追い越します。私も社長を務めていたときには、新入社員に対して「先輩をどんどん追い越せ」と鼓舞していました。先輩が頭を押さえつけているような会社は絶対に伸びません。先輩に対する敬意とは別に、1年目でも2年目でも5年目でも、同じ舞台に立って同じ条件の下で走って行くのが健全な会社です。

スキルは即刻後輩にシェアする

 そしてその中でも、追い抜かれる可能性があったとしても、2年目から後輩を育てる意識を持っているのが選ばれる人です。

 人に教えると、自分のステージを上げるしかなくなります。例えばプログラミングで1年目を食べてきた人が新入社員に教えると、自分はさらにプログラミングの技術を磨くか、デザインなど他の分野に強くなるなどして、自分を高めざるを得なくなります。

 スキルは、身につけた瞬間からシェアすべきです。なぜなら、会社の時間に給料をもらいながら身につけた技術や知識は、会社のものだからです。自分のものではありません。

 技術や知識には暗黙知の部分もありますが、形式知化できるものは「俺の背中を見て覚えろ」といった姿勢は取らないこと。会社側からすると「早くシェアしてくれ」と言いたくなります。背中には字を書けないのですから、フェイス・トゥフェイス、もしくは適切なドキュメンテーションで伝えるべきでしょう。

 しかし、追い抜かれるのが怖いのか、いつまでも偉そうな顔をしていたいのか、2年目から育てる意識を持てない社員が多すぎます。日本企業が抱いている閉塞感の源は、2年目から始まっているのではないかと思うほどです。

 自分が身につけたことを後輩とシェアして、自分を高めていく。

 これは、ビジネスマンをやっている限りずっと続けることです。そのスタートとなるのが、2年目です。

 →連載「選ばれ続けるリーダーの条件」バックナンバーはこちら

著者プロフィール:

山元賢治(やまもと・けんじ)

1959年生まれ。神戸大学卒業後、日本IBMに入社。日本オラクル、ケイデンスを経て、EMCジャパン副社長。2002年、日本オラクルへ復帰。2004年にスティーブ・ジョブズに指名され、アップル・ジャパンの代表取締役社長に就任し、現在、(株)コミュニカ代表取締役。(株)Plan・Do・See、(株)エスキュービズム、(株)F.A.N、(株)マジックハット、グローバル・ブレイン(株)の顧問を務める。私塾「山元塾」を開講。


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