知らなきゃ損する青色申告の超シンプル構造freeeでやる青色申告(3/3 ページ)

» 2013年12月20日 12時00分 公開
[菅葉奈Business Media 誠]
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実は簡単すぎた所得税計算

 複式簿記あるいは単式簿記を記帳することで所得税を算出できます。と言われても、簿記の知識ゼロの人にとってみたら「所得税の計算なんてとてもできない、難しすぎる」と思うかもしれません。私もそう思っていました。しかし仕組みを知ってしまえば、実はとてもシンプルなことが分かります。小学校で習った簡単な四則計算さえできれば可能です。しかも割り算は必要なくて、足し算、引き算、掛け算だけ。以下の流れで計算できます。あまりに簡単すぎて泣けてきます。

  • 収入+収入+収入……=総収入
  • 経費+経費+経費……=総経費
  • 総収入−総経費=事業所得
  • 事業所得−各種控除=課税所得
  • 課税所得×税率=所得税額
  • 所得税額−源泉所得税=差引後の所得税額(源泉徴収されている場合のみ)

 順番に見ていきましょう。まずは1月1日〜12月31日までの収入と経費を足し算して、それぞれ合計を出します。

  • 収入+収入+収入……=総収入
  • 経費+経費+経費……=総経費

 そしたら次は引き算です。総収入から総経費を引くと、事業所得が算出されます。

  • 総収入−総経費=事業所得

 事業所得から各種控除を引くと課税所得が算出されます。配偶者控除、社会保険控除、生命保険関係の控除などです。青色申告ではさらに、青色申告特別控除(65万円か10万円)を追加できます。控除が多いほど支払う税金が少なりますから、対象になるよう工夫して控除額を増やしたいところです。

  • 事業所得−各種控除=課税所得

 課税所得に税率(所得税+復興特別所得税)をかけると所得税額が算出されます。税率は所得によって異なっていて、所得が多いほど税率は大きくなります。いわゆる富の再分配ですね。復興特別所得税は所得税に2.1%上乗せとなります。

  • 課税所得×税率=所得税額

 源泉徴収されている場合は、所得税額から引いて二重支払にならないようにしましょう。例えばフリーライターなら100万円以下の報酬の場合、実際の原稿料から源泉徴収としてあらかじめ10.21%(従来の源泉徴収額+復興特別所得税)差し引かれます。

 1年で100万円分の原稿を書くと10万2100円引かれて、手元に入ってくるのは89万7900円だけ。もったいないので、確定申告でしっかり帳尻合わせしましょう。源泉徴収分のほうが多ければ税金が還付されます。確定申告時には証明する書類として源泉徴収票を提出する必要があります。

  • 所得税額−源泉所得税=差引後の所得税額

青色申告のさまざまな特典

 青色申告にはさまざまな特典があります。代表的なのは先ほど挙げた「青色申告特別控除(65万円あるいは10万円)」のほか、「赤字の3年繰り越し」「減価償却の特例」「青色専業専従者給与」など。それぞれの内容について、少しご紹介しておきましょう。

青色申告特別控除

 単式簿記で記帳すると10万円、複式簿記で記帳、貸借対照表と損益計算書を添付すると65万円の控除を受けられます。節税するなら、もちろん後者です!

赤字の3年繰り越し

 ある年に発生した赤字を分割し、3年間にわたり黒字と相殺して申告し、利益を少なく見せられます。利益が少ないほど税金は減るので、節税効果が高いです。

減価償却の特例

 通常10万円以上の高額備品を購入すると、分割して小分けで経費計上しないといけません。所得税は収入に経費を引いた額から計算されるので、なるべく経費を多くしたいもの。そこで青色申告にすれば、30万円未満の固定資産ならその年に全額経費にでき、節税効果が高まります。

青色事業専従者給与

 家族に払った給与を経費にできます。配偶者や子どもにお店を手伝ってもらったり、帳簿をつけてもらったりするときにお得な制度です。従事する期間、年齢などの要件を満たし、常識の範囲内の給与であることが条件です。ちなみに私は1人で完結したい派なので、青色事業専従者給与はこれまでも、これからも利用しなさそうです。

 青色申告の特典はさまざまで、事業内容や業績、価値観によっては当てはまらないものもあるかもしれません。しかし、与えられた恩恵は最大限享受しましょう。青色申告を選ぶだけで、これだけたくさんの選択肢が与えられるのだから、利用しない手はありません!

 次回は青色申告に対応している会計ソフトを試してみます。

消費税8%時代の確定申告
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