学生時代にサボった授業のツケを、今払っている話人材育成の今とこれから(1/2 ページ)

勉強すること=いい点を取ること=「暗記」だと思っていた学生時代。当時、この「暗記」という呪縛を解くことができたら、勉強への関心はもっと違ったものになっていたかもしれません。

» 2014年01月14日 11時30分 公開
[原田由美子,Business Media 誠]
誠ブログ

 新しい年が始まり、はや2週間。皆さんいかがお過ごしでしょうか? 私は、昨年夏に公開したエントリー「『習っていません』と言われると、『やる気がないのか?』と40代以上が思うワケ」に対するコメントへの対応をそのままにし、ブログを更新できず、気になったまま年を迎えました。

 そこで今回は、そのコメントについて考えをまとめてみました。「勉強に関心がない」「理系科目が苦手」な人が身の周りに居る人の参考になれば幸いです。

 コメントは、2013年8月に「とある地方の大学教員」という大学の先生からいただいた次の内容です。

 果たして、学ぶことが自分の今後にどのように役に立つのかが見えないから、なのでしょうか? よく中高生あたりが、学校の勉強が社会に出て何の役に立つのか、と言ったりしますよね。実は彼らは、勉強する目的を知りたいのではなく、勉強したくないのでしなくて済む理由を探しているだけだったりします(フェスティンガーの認知的不協和理論ですね)。大学生たちの目的はただ単位を取るため、そしてそのために出来るだけ楽をしたい。そう考えると、彼らの言動を説明できることが多々あります。

 それから学生たちは、本質的なことを理解するのではなく、暗記と丸写しで済ませようとする傾向があります。丸暗記するな、理解しろ、と口を酸っぱくしているのですが、彼らの心には届きません。は受験勉強の弊害なのでしょうか。彼らにとっては数学でさえ暗記科目なのですから。

 まぁ、私が相手しているのは大学生なので、原田さんが相手にしている社会人とは随分状況が異なると思います。私も企業で会社員相手に講習会をする機会がありますが、彼らは大学生とはモチベーションがまったく別物だと感じますね。

(写真と本文は関係ありません)

 このコメントを読んだ私の率直な感想は、「先生、本当にごめんなさい」でした。

サボってばかりの学生時代

 と言うのは、私は大学生時代、まさにこの先生のおっしゃるような学生だったからです。代返がきく授業は誰かに代返してもらい、代返がきかない授業は教室の隅に席を取り、内職したり睡眠学習をしていました。当時の私は「要領よくやる」とか「うまくやる」ことがカッコいいと、誤った価値観を持っていた時期でもありました。

 決して勉強が嫌いだったわけではありません。ただ、自分が興味があることとないことがはっきりしていて、自分の興味のないことは「スルー」するような学生でした。そのため、興味が持てない授業は「いかに出席しないで済むか」を考えることに時間とエネルギーを割いていました。今考えれば、何とモッタイナイことをしていたのでしょう。

 さて、このような学生生活を送り、現在企業の「人材育成」という仕事を通じて痛感していることは「今受けたら、あの授業面白かったのかも……」ということです。

理系科目が苦手だった本当の理由

 私が特にスルーした教科は理系科目で、数学、物理、化学など「自分で考えなければならない」教科でした。しかし当時の私は、その教科が「自分で考えなければいけない」という認識をしていませんでした。

 というのは、小学校時代に中学受験準備でとにかく短い時間で大量の答えを出す、量をこなすことが大事だと言われ、丸暗記する訓練をしてきたからです。そのような考え方を基にいくら問題にあたっても、算数や理科の成績は伸びません。すると、やっても伸びない算数と理科はどんどんやる気がしなくなり、勉強時間も減ります。勉強時間が減れば更に成績も伸びず、いつしか「苦手科目」となりました。苦手意識は、中学以降克服されることはなく、とにかく逃げる、避ける科目でした。

営業成績の頭打ちにより、苦手な領域に取り組むことに

 そのような学生時代を経て社会人になり、人材育成の営業としてそこそこ成果を上げていた30代半ば。ある時急に成果が上がらなくなった時期がありました。その理由は、教育テーマのトレンドが変わり「論理思考」という考え方が重要視されるようになったためです。そのため私の会社でも、教育テーマの1つに「論理思考」を加える必要性が出てきました。その際に戸惑ったことがありました。それは、論理系のプログラムを提供する講師の先生方のほとんどが理系出身。自分には全くなかった思考パターンに接する必要性が出てきたからです。

 その最たる先生の1人が、本誠ブログでも執筆中の開米瑞浩講師。開米講師の「情報構造化ー情報の読み解き」に出会ったとき、私は「(私にとって)地獄の特訓だ」と思ったほどです(今はプログラムが進化し、取り組みやすくなっています)。

 私は研修プログラムを提供するに当たり、可能な限り自分でそのプログラムを体験し、自分の言葉で説明できるようにしています。そのため、開米講師のプログラムも体験したのですが、これがかなりキツイ。キツイ理由は、情報を構造化するためにロジックを組み立てる必要があるためです。これまで「暗記」や「直感」に頼っていたので、そのロジックをどう作っていいのかが分からない。その上、「短い時間でさっと答えを出す」ことが習慣となっていたため、じっくり考えること、1つ1つ組み立てて検証することができないのです。

 このことに気が付いたのが、36歳ごろ。今までは「スルー」で済ませられてきたものに、あらためて向き合わなければならなくなった瞬間でした。

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