自分の席が「ネガティブスイッチ」になっていませんか?ストレスをためない技術

日曜夕方になると憂鬱(ゆううつ)になる、会社の建物を見るとネガティブな気持ちになる――。こうしたスイッチが入ってしまう人は、まず自分を客観視し、あなたを「悪い状態」へと引きずり込んでいるスイッチを見つけてみましょう。

» 2014年01月15日 11時30分 公開
[松島直也,Business Media 誠]

集中連載『ストレスをためない技術』について

 本連載は、2012年2月16日に発売の松島直也著『ストレスをためない技術』(日本実業出版社)から一部抜粋、編集しています。

 ストレスは、決してなくならない。ストレスはできるだけ感じたくないものです。けれど、世の中からストレスは決してなくなりません。一歩外に出れば、さまざまなことがストレス要因となり、あなたを襲います。自分だけが「安全地帯」に逃げ込むことはできないのです。

 大事なのは「ストレスをなくすこと」ではなく、「どう付き合うか」を知ることです。本書では、NLP(神経言語プログラミング)の専門家である著者が、ストレスとの正しい付き合い方を紹介します。


 「仕事でストレスを感じる」という人の中には、自分の席がネガティブなスイッチになっている人がけっこういます。会社に来て自分の席に座った時点で「ああ、何か嫌だな」「疲れちゃった」「やる気がしない」という気分になってくる。そんなタイプです。

 たとえそれまで「よい状態」であったとしても、席に着いた瞬間にネガティブなスイッチが入ってしまう。「自分の席=嫌なもの」というリンクができてしまっているのです。

 このように「ある刺激」が「決まった反応」と結び付くことをNLP(神経言語プログラミング)用語で「アンカーリング」と言いますが、「自分の席=嫌なもの」というアンカーリングができ上がっていると、席に着いただけで状態が悪くなります。

サザエさん症候群もアンカーリングの1つ

 テレビでサザエさんを観ると憂鬱(ゆううつ)になる話を聞いたことがありませんか? サザエさんは日曜日の夕方に放送されているので、ビジネスパーソンは「明日から仕事か」「もう休みは終わりか」と思い、憂鬱になるわけです。

 そしていつしか「サザエさん」という番組そのものが「憂鬱のスイッチ」となってしまい「明日から仕事か」と考える以前に、とにかく憂鬱になってしまうのです。これも1つのアンカーリング。「サザエさん=憂鬱な気分」がリンクしてしまっているのです。

 話を戻すと、この状況から脱するためには「リンクを外す」あるいは「新たなリンクをし直す」必要があります。「自分の席=嫌なもの」という意味付けを解除して、もっとポジティブなスイッチに切り替えるのです。

 第1ステップは、状況を客観視することです。

 あなたは今、自分の席に着いて、嫌な気持ちになっています。その状況を客観視するために、席を立ち、1〜2メートル離れてください。そして、離れた場所から「嫌な気分で座っている自分」をイメージしてください。そうやって客観視することで、少しだけ現実の状況から離れることができます。

 次に、立ったままの姿勢で自分がよい状態だったときのことを思い出してください。私の場合は「リラックスした状態」で仕事に向かいたいので、「ハワイに旅行へ行ったときの映像」「ワイキキビーチで、のんびりと読書をしている場面」などを思い浮かべます。

 モチベーションを高くしてから仕事を始めたいという人は、自分がポジティブな気分で仕事に取り組んでいた場面、スポーツに打ち込んでいたころの映像などを思い浮かべても構いません。

 とにかく、その場で「よい状況」をイメージして、自分の中に「よい状態」を作ることが肝心です。そうやって「よい状態」を作り出せたら、スッと自分の席に戻ります。

 「仕事は嫌だ」と思っている自分に、「よい状態の自分」を重ね合わせるようなイメージです。すると自然に「自分の席=嫌なもの」というリンクが外れ、よい気分のまま席に着くことができるようになっていきます。

 もちろん、この方法が一度で上手く機能する人もいれば、一回のチャレンジではなかなか上手くいかない人もいます。上手くいかなかった人は、何度か繰り返し試してみてください。繰り返しているうちに状況を客観視することにも慣れ、「よい状態」のイメージ作りも上手くなってきます。

 すると、だんだん「自分の席=嫌なもの」というリンクが弱まって、新しいリンクが構築されていきます。本記事を読んでイメージするだけでなく、実際に自分の体を動かすと効果が実感できるはずです。ぜひ試してみてください。

 そもそも「自分の席=嫌なもの」というのは、脳内に組み込まれたプログラムです。そのプログラムがストレスを生んでいるので、新たなプログラムを再インストールして、上書きする必要があります。漫然と席に着いたら古いプログラムが自動的に作動しますが、意識的に再インストールと上書きをすれば、必ずプログラムは更新されます。

 自分の席に限らず、会社の建物そのものがネガティブなスイッチになっていたり、朝出勤するための玄関、着替えをする鏡など、あらゆるものがあなたを「悪い状態」へと引きずり込んでいる可能性があります。

 まずは自分のネガティブスイッチを見つけ、プログラムの更新作業を行ってみてください。

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