源泉徴収票の見方――サラリーマンの税金を理解しよう消費税8%時代の確定申告(1/3 ページ)

1月支給分の給与明細と一緒に渡される「源泉徴収票」。そこに書かれているさまざまな金額が何を意味しているのかを知ることで、支払うべき税金の額が分かるのだ。

» 2014年01月24日 10時00分 公開
[奥川浩彦, 監修:木村税務会計事務所 税理士 木村聡子,Business Media 誠]

 2014年、いよいよ消費税が5%から8%に引き上げられる大型増税イヤーに突入した。消費税が3%から5%に引き上げられたのが1997年なので17年ぶりの変更だ。ニュースやワイドショーでも頻繁に話題となっているので、普段は税金に興味のない人も気になっているだろう。

 すでにサラリーマンは2013年から復興特別税が所得税に上乗せされている。2014年には復興特別税が住民税にも上乗せされる。年収1500万円を超える人は2013年から給与所得控除の上限が設けられることによる増税が始まっている。

 「へぇ、そうなの」と思われた読者もいることだろう。筆者もサラリーマン時代なら消費税以外の増税は気にもとめなかった。税金の話題が気になる人は、この機会に自分の税金についても少し興味を持っていただきたい。

 消費税や復興特別税の増税を乗り切る特効薬はない。ものを買えば消費税は取られるし、復興特別税は給与から勝手に天引きされるので回避できない。高額なものの購入を検討している人は増税前の3月までに購入することがささやかな抵抗となるかもしれない。

 と言いつつ、年明けに輸入車を購入した筆者の友人は、消費税の増税が避けられなかった。すでに人気車種は3月までの納車(正しくは新車登録)は難しいらしい。ただ、車ほど高額でなくても長く使えるものは購入時期を早めることで増税を避けることができるだろう。

 増税に対し特効薬はないが、税金の知識を得ることでいくばくかの節税は可能だ。海外旅行に精通した人が安く旅行するノウハウを持っていたり、PC好きの人がPCパーツや周辺機器の増設を低コストで実現したりするのと同じで、税金も知識があるとそれなりに恩恵を受けられる。増税分を取り戻せるかは個人の納税状況によるが、基本的なところを理解すれば長く役に立つのが税金の知識だと思う。

源泉徴収票の見方

 サラリーマンは12月か1月の給与明細と一緒に「平成25年分 給与所得の源泉徴収票」を受け取っているはずだ。サラリーマン時代の筆者はこの源泉徴収票の内容がまったく理解できなかった。そこに書かれた金額が収入を表していることは分かるが、それぞれの金額の関係は理解できず、チラッと見てそのまま給料袋に戻していた。

 この源泉徴収票の見方を理解するには、所得税の計算方法を知る必要がある。すると納税額を減らす方法=節税が見えてくる。まずは源泉徴収票のサンプルを見ながら所得税の計算方法を解説していこう。

 サンプルは安倍進次郎さんの平成25年分の源泉徴収票だ。安倍さんは専業主婦の奥さん、高校生と大学生の子どもを養い、旧制度の一般の生命保険に11万円(控除額5万円)、介護医療保険に8万円(控除額4万円)という条件だ。

源泉徴収票 源泉徴収票のサンプル

 源泉徴収票を見ると支払金額に600万円、給与所得控除の金額に426万円、所得控除の額の合計額に274万円、源泉徴収税額に7万7596円と書かれている。600万円が年収らしいことは分かるが、それ以外の金額は分かりにくい。ハッキリ言って、所得税の計算方法を知らない人には分からないように書かれていると思える。

 では順番に金額を説明していこう。まずは基本となる所得税の計算式は以下のとおりだ。

  • 給与の収入金額(年収)−給与所得控除=給与所得
  • 給与所得−各種所得控除=課税所得
  • 課税所得×税率=所得税
所得税算出の概念図 所得税算出の概念図
インフレ時代の確定申告
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