ドロップアウトしたことで見えた社会の現実満員電車にサヨナラする方法(2/2 ページ)

» 2014年01月28日 11時00分 公開
[秋好陽介,Business Media 誠]
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寄り道したことで見えた社会の現実

 毎日、朝起きたら「さて、今日は何をしようかな」とぼんやり考え、やりたいことがなければそのままごろごろし、昼ごろにぷらっと出かけて、地元の友だちとたわいのない話をしたり、ゲームをして遊んだり。人生で初めて訪れた自由な時間を思い切り謳歌していました。

 そんなことをしているうちに、遊ぶお金も底をついてくるので仕方なくアルバイトをするようになります。するとリアルな社会にだんだんと接するようになりました。当時のアルバイトの時給は確か780円ぐらい。1カ月、フルに働いても15万円もいかないくらいでした。当時、よく遊びに行っていた大阪の繁華街で、いろんな人間模様を見ました。

 繁華街などに行くと、昼間からいい大人が仕事もせずにぶらぶらしている光景によく出くわします。私も同じく昼間から仕事もせずにぷらぷらしている身分ですから、普通に進学したり就職したりしている同級生とは時間が合いません。そこで、自然と同じようにドロップアウトした人たちと知り合うようになりました。

 すると、これもまた聞きもしないのに、身の上話をしてくれるわけです。

 「秋好君、大学はどこ? 高卒? それは厳しいよね、将来どうすんの?」

 「それは、就職したほうがいいよ。でもね、ずっと1つの会社のお世話になろうなんて思ってたらだめだよ」

 それは学校も誰も教えてくれなかった、本当の社会の姿でした。

 フツーに大学に行って、フツーの会社に就職し、フツーのサラリーマンとして働くのがすべて、という道への疑問はどうやら的外れではなく、むしろ当たっていたようで、幸福な未来へ続く道では、すでになくなったようです。

 さりとて、このままいつまでも無職生活を続けていたら、それこそ人生を棒にふる危険があることも分かりました。何か人と違うことがしたいという欲求を昔から持っていた私は、そうして2年後、思いなおして大学に進学することにしたのです。

 フツーに大学に行ってフツーに就職しても幸せになれないと思っていた私ですが、大学を卒業した後、大手ネット企業であるニフティに就職し、社会に出てみると、当初、想像していたよりも快適で充実したサラリーマンライフを送ることができました。

 ただそれは、いろいろな意味で恵まれていたようです。自由な社風の、良い仲間に恵まれた会社に入社できたこともあるし、サラリーマンをしていたのも、たった3年のことだったので、まだまだ経験が足りないことが多かっただけかもしれません。

 実際には、世の中の企業をとりまく状況は、年を追うごとにどんどん悪くなっていく一方です。その中で、働く人たちの境遇もだんだんと厳しくなっていたのです。

 (次回、「人類史上初。1つの職業では生活できない時代の到来」)

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