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» 2014年02月04日 11時00分 UPDATE

満員電車にサヨナラする方法:1つの職業では生活できない時代の到来

数年前までは、いったん入社したら40年間ずっと同じ会社で勤める終身雇用が当然でした。ところがいまや、どんなに大企業でも10年後まで存続するかどうかの保証は何もない時代になったのです。

[秋好陽介,Business Media 誠]

集中連載『満員電車にサヨナラする方法』について

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 本連載は、2013年12月21日に発売したランサーズ代表、秋好陽介著『満員電車にサヨナラする方法〜時間と場所にとらわれない新しい働き方〜』(ビジネス社刊)から一部抜粋、編集しています。

 ブロガ―ちきりんさんやグロービス代表の堀義人氏も推薦! 日本初のクラウドソーシングサービス「ランサーズ」の代表、秋好陽介氏が提案する時間と場所にとらわれない新しい働き方とは?

 インターネットが普及している現在、出社しなくてもできる仕事は珍しくありません。もしかしたら「この通勤時間を仕事時間に使えたら、どんなに生産的だろうか」「通勤時間を労働時間に変えれば、家族と過ごせる時間が増えるのに……」「通勤時間を労働時間に変えれば、プライベートをさらに楽しむことができるのに……」と感じたことがある人もいるのではないでしょうか。

 世の中の人々が自分の価値観、好み、感性のおもむくまま自由に生きられる、そんな面白い時代が、すでに始まっています。


 2013年4月の大学新卒者55万9030人のうち、就職したのは35万7285人。就職者を卒業者で単純に割ると、就職率は63.9%になります。4割近くが就職しない時代になりました。その人たちの多くが、アルバイトや非正規社員など不安定な身分で働いています。

 2013年7月、総務省が発表した就業構造基本調査では、非正規社員として働いている人の数が初めて2000万人を突破したことが分かりました。この20年ほどで実に2倍に増えています。働く人の38.2%、おおよそ4割に迫っているのが現実です。

 特に女性の場合は、結婚、出産、夫の転勤などのタイミングで離職を余儀なくされています。仕事に復帰しようにも、履歴書にブランクができてしまうことによって、再就職はなかなかかないません。実際、すでに働く女性の6割が非正規社員で占められています。これからも、この傾向はさらに加速していくという意見も耳にします。

 結果的に、ダイナミックに変化するビジネス社会の中で、激しい競争をくぐりぬけて生き残ることができるのは、フツーのやり方では険しき道なのです。

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人類史上初。1つの職業では生活できない時代の到来

 では、その険しい道をくぐったいわばエリート層たちが毎日充実して働いているかというと、意外なことにそういうわけでもありません。特にいまは、事業の寿命も短くなっています。バブル崩壊後、潰れないはずだった金融機関までも倒産が相次ぎ、四大証券の一つだった山一證券の破綻から始まって北海道拓殖銀行が会社更生法の適用を受けて破綻、その後流通の不振が相次ぎマイカルやそごうが民事再生手続きに入りました。

 最近では半官半民会社だった日本航空までがついに会社更生法の適用を受けて破綻しました。日本航空はまだ存続していますが、厳しいリストラが行われました。民事再生を受けたマイカルやそごうは別の会社に買収されて、経営がドラスティックに変わってしまい、やはり激しいリストラが行われています。

 私たちの親世代までは、いったん入社したら40年間ずっと同じ会社で勤めあげる終身雇用が当然だったのに、どんなに大企業でも、10年後まで存続するかどうかの保証は何もない時代になったのです。あるいは、企業そのものは存続していても仕事の内容が突然がらりと変わってしまうことが少なくありません。いまは業務の変化が非常に早いのです。

 例えば、つい20年前まで印刷会社では活版で印刷していたのに、いまはもうほとんど電子データです。何十年、印刷職人として技を磨いてきた人だってコンピュータが操作できなければ仕事はなくなります。

 同じように、ここ10年、20年の間にスチール写真やレコード、CDなどの市場が激減しています。そうした仕事に携わっていた人たちは、どれだけスキルがあっても活躍の場そのものがなくなってしまっています。いまは、こういうケースが非常に多くなりました。

 結果、何が起こっているかというと、スキルの短命化です。少し前までは、1つのスキルの寿命は、200年ぐらいあったはずです。例えば「靴職人」というスキルを極めたら、それで200年くらいは生計を立てられました。200年ということは、初代が亡くなっても、その子供に引き継がれ、さらに孫の代までそのスキルで生活していくことができたわけです。しかし技術の発達とともに、スキルの寿命はだんだん短くなってしまいました。

 1960〜1970年ごろに発達し始めた商店街で開店した店舗が、いま世代交代時期を迎えていて、二代目の店主が30歳代から50歳代ぐらいの年齢に達しています。しかし、初代の商店主は二代目に店を継がせずに、別の仕事をさせています。「息子に継がせられるほど、商売の先行きがない」というのが理由です。つまり、スキルは一代限りになった感があります。

 ところが、さらにその息子世代になると、一代さえもたなくなりました。いま40歳代の人が社会に出た20年前とでは、仕事のやり方は大きく変わっているはずです。当時はインターネットも携帯電話もスマートフォンもありませんでした。これらの機器を使いこなせないといまや仕事にならないし、デジタル時代に即したマーケティングスキルやビジネスセンスを身につけないと、とたんに取り残されてしまう時代になっています。

 いま30歳代の私たちだってうかうかしていられません。あと10年後にはとんでもない世の中に変わっているはずです。そのころには、私が20年かかって積み上げたスキルがまったく通用しなくなっているかもしれません。すると、私たちは40歳になって改めて新しいスキルを身につけないといけなくなるのです。人類史上、おそらく人生で二つのスキルを獲得しないといけない時代は、いままでになかったはずです。

 それに40歳になってスキルをリセットをしたとしても、同年齢同士で競争するならまだいいでしょう。でも、そのときの競争相手は自分の子供みたいな若いライバルです。もっと言うと、日本人ではなく海外に住む外国人の20歳かもしれないのです。中国人やインド人の若者のハングリー精神にはとてもではありませんが、40歳代の日本人が太刀打ちできるとは到底思えません。

 おそらくこのままいけば、働いても収入が上がらない人たちが増える一方で、勝ち残った一部のエリートたちも、永遠に終わらないラットレースのような果てしのない競争を強いられることになるでしょう。

 いったい誰がそんな未来を望んだのでしょうか?

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