「運動をしたい」と思うなら、そのための体力が必要です。それと同様、やめたいと思っている習慣への欲望や誘惑に打ち勝つためにも「こころの体力」が必要です。
本連載は、2013年12月21日に発売した古川武士著『新しい自分に生まれ変わる 「やめる」習慣』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。
「嫌なことを先延ばしにする」「ネットサーフィンにハマってしまう」「夜更かしで次の日に影響が出る」など、長い目で見たらデメリットなのに、目先の誘惑に負けて、ついやってしまう習慣はありませんか?
それらの「悪い習慣」を放置しておくと、人生に「負のスパイラル」をもたらします。本書では、2万人以上を導いた習慣化コンサルタントの著者が、誘惑に打ち勝ち、悪い習慣を確実に手放せる「やめる習慣メソッド」を紹介します。
NLP(神経言語学的プログラミング)とコーチングに基づいたこの科学的メソッドで、悪い習慣を断ち、人生に好循環を起こしましょう!
悪い習慣がやめられないのは、目先の欲望・誘惑に負けるからです。例えばダイエットをしている最中でも、
など、つい目先の欲望・誘惑に負けてしまい、やめられなくなるのです。「やめる習慣」を達成する土台として、目先の欲望・誘惑に負けず、自分の感情をコントロールしていく力が重要です。本書ではこの力を「こころの体力」と呼びたいと思います。
こころの体力を高める努力こそ、「やめる習慣」の土台を作ることになります。こころの体力が高まれば、ドカ食い、ヤケ酒などがなくなります。
では、「こころの体力」を高めるためにどうすればいいのでしょうか?まず、覚えておいていただきたいのが、こころの体力は、身体のそれと同じように「筋力」と「エネルギー」から作られるということです
■こころの筋力を鍛える
「こころの筋力」は自制心、つまり欲望をコントロールできる根本的な力のことです。
筋力をつけるには、よい習慣、日課をきちんと増やしていくことが重要です。つまり、よい習慣を1つずつ増やしていくと、自分をコントロールする「こころの筋力」がどんどん強くなります。その中でも、「筋力」を強くするのにお勧めの習慣は、「片づけ」「早起き」「運動」の習慣です。この3つを身につければ、非常にパワフルな自制心が鍛えられます。
こころの筋力は鍛えれば強くなり、サボると衰えます。こころの筋力が強くなると揺るぎない自信、強いパワーが生まれます。
■筋力の発揮にはエネルギーが必要
しかし、どんなに筋力があっても、身体と同じでエネルギーが枯渇している状態では誘惑に負けてしまいます。そこで「こころのエネルギー」が重要になります。こころのエネルギーとは、1日分の精神的なエネルギーのことです。何か行動しよう、仕事を始めようとしたときに、やる気とパワーに満ちあふれている状態は、こころのエネルギーが高い状態です。
一方、金曜日の夜23時に睡眠不足と疲労困憊の中で仕事をしている状態は、こころのエネルギーがない状態です。
こころのエネルギーは悪い習慣をやめるにあたって非常に重要です。エネルギーがない状態では欲望に打ち勝つことはできません。こころのエネルギーは一日24時間で均等に配分されるわけでなく、どんどん消費していくものです。こころのエネルギーが十分あるときは、こころの筋力が最大限に発揮され、目先の欲望に打ち勝つことができます。
■こころのエネルギーを高めるには?
では、こころのエネルギーを高めるにはどうすればいいのでしょうか?こころにエネルギーがない状態というのは、ヘトヘトになっていて、1日の精神力を使い切っている状態です。この状態だと目先の誘惑に負けやすくなります。
エネルギーをなくす要因として次の6つが挙げられます。
これらに対して適切な対策として、次の6つが挙げられます。
要するに対策としては、栄養を取って、よく寝て、リラックスできる時間を持つ。あと、過剰なストレスをなくすことです。こころの体力により、誘惑や欲望を撃退するためには、こころの筋力とエネルギーがよい状態になっていることが大切なのです。
ただし、こころの体力を一瞬にして奪うものがあります。それはお酒です。アルコールは、こころの体力を奪い、「今日はもういいや」と投げやりにしてしまいます。この習慣はどうしてもやめたいというときには、お酒は控えたほうが賢明です。
こころの体力が高まると自己効力感(自分の生活をコントロールできている感覚)に満ちあふれます。それだけで、気持ちがよく、セルフイメージが高まります。こころの体力は誰にでもあります。それを自分に取り戻し、鍛え続けることが重要なのです。
こころの体力を高めるために、誰にでもできることとして、まずは朝5分の片づけをお勧めします。こころが清められ、身体全体の細胞のスイッチがオンになり、一気に活動的になれます。
次回は、モチベーションを高め、苦痛を軽減する方法についてお伝えします。
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