座る位置を工夫してストレスの連鎖を防ぐストレスをためない技術

誰かの相談を受ける場合に気を付けたいのがストレスの連鎖。心理カウンセラーが患者の状態に引っ張られて、自分も鬱病になってしまうという話を聞いたことがありませんか? 実はこれはよくある話です。

» 2014年02月13日 11時00分 公開
[松島直也,Business Media 誠]

集中連載『ストレスをためない技術』について

 本連載は、2012年2月16日に発売の松島直也著『ストレスをためない技術』(日本実業出版社)から一部抜粋、編集しています。

 ストレスは、決してなくならない。ストレスはできるだけ感じたくないものです。けれど、世の中からストレスは決してなくなりません。一歩外に出れば、さまざまなことがストレス要因となり、あなたを襲います。自分だけが「安全地帯」に逃げ込むことはできないのです。

 大事なのは「ストレスをなくすこと」ではなく、「どう付き合うか」を知ることです。本書では、NLP(神経言語プログラミング)の専門家である著者が、ストレスとの正しい付き合い方を紹介します。


 前回「職場に『癒し系の相方』を探す」で職場の人に話を聴いてもらう効用について述べたところで、今度は逆に「話を聴くうえでの注意点」をいくつか紹介しておきましょう。あなた自身が、先述の癒し系の相方になる場合です。

 何よりもまず気を付けたいのがストレスの連鎖。心理カウンセラーが患者の状態に引っ張られて、自分も鬱病になってしまうという話を聞いたことがありませんか? 実はこれはよくある話です。

 ストレスやネガティブな状態というのは、比較的簡単にうつってしまいます。東日本大震災のときもそうでしたが、テレビやインターネットで暗いニュースに触れると、自分の気持ちもどんどん塞ぎ込んでしまう。そういうことがよくあります。

 当然、誰かの話を聴いていても、そのメンタリティ、状態に引きずられて、自分もどんどんストレスを増幅させてしまう危険性があります。その際に大事なのが「主語を区別すること」です。

 「私は辛いことがあったのよ」と相手が話したら、「あなたは辛いことがあったのね」と受けとめる。これが基本です。もちろん実際の言葉に出す必要はありません。いちいち「あなたは辛いことがあったのね」「君は上司に叱られたんだね」と口頭で返していたら、話は前に進みませんし、話すほうも嫌な気分になってしまいます。

 あくまでも心の中で「あなたは○○なのね」「あなたは○○を嫌がっている」と意識しながら相手の話を聴き、相づちを打つようにしてください。相手の話を聴く際、相手の立場になって共感してあげることはとても大切です。相手の悲しみや苦しみに同調してあげることで、相手は楽になるものです。

 ですが心から全力で共感するのではなく、心のどこかでは「主語を区別する」という意識を持っていてください。それが自分自身を守る術となります。

 話を聴くときに限ったことではありませんが、相手との位置関係も重要です。バーカウンターのような場所で、同じ向きで並んで座っている場合には、やはり共感的になりやすく、同調しやすいという利点があります。しかしその反面、ストレスの連鎖を招いてしまう危険性も高い。

 一方、普通に向かい合って座る場合、敵対的になりやすい傾向があります。口論にはならないまでも、「あなたと私」という明確な区別がつきやすく、共感性を得にくいと言われています。

 そこでカウンセリングの場面では、L字型に座って、その中間的な効果を狙う場合が多いのです。相手との関係、話の内容にもよるでしょうが、話をするとき(聴くとき)にちょっとだけ座る位置にも気を遣ってみてください。

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