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» 2014年02月17日 10時00分 UPDATE

一流の働き方:みんなが「ノー」ならあえてやる (1/2)

大ヒット商品の成功の担い手たちは、何でも面白がる精神や新しいものに挑戦し続ける特性を持っている。特に上に立つ人間には必須のものだ。これがないと、部下はついてこない。

[川北義則,Business Media 誠]

集中連載『一流の働き方』について

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 本連載は、2013年11月26日に発売した川北義則著『一流の働き方』(アスコム刊)から一部抜粋、編集しています。

 なぜあの人の仕事は、いつもうまくいくのか? 一流は困難なときこそ楽天的である。「忙しい」は、二流の口グセ。「努力」は、他人に見せたときに価値を失う。仕事ができる人は、孤独を恐れない――頭角を現す人にはこのような条件を持っている。

 本書は、人気ベストセラー作家が「頭角を現す人」の究極の仕事術を39の条件にまとめ語り尽す一冊。あなたも「あの人のようになりたい」といわれる人間になろう!


 「だから言ったでしょう、と、本心はそう言いたいですよ」

 ある新興出版社の若手編集者が、私のオフィスで嘆く。自己啓発系、タレント関連などの書籍を出版する編集部に所属している。なかなか変わった発想をする男で、「この男、面白いな」と私は常々感じていた。

 嘆きの原因は、彼が社内で提案して脚下された企画とほぼ同じ内容の書籍が、他の出版社で刊行されて10万部を超えるヒットになったのだ。私も出版プロデュース業に長く携わっているから、彼の悔しさは分かる。

 彼が提出した企画は、編集会議の席で編集担当役員、直属の上司、先輩編集者をはじめ誰も興味を示さなかった企画だった。1人の女性新入社員を除いては――。私自身、編集会議の前に相談を受けて企画書を見せてもらっていたのだが、私が上司ならゴーサインを出していたと思う。

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 今までに類書がないユニークなテーマだったからだ。著者もタイトルも奇抜で、内容も面白そうだった。出版する価値は十分にあると感じていた。もちろん、その企画を実現したからといって、成功したかどうかは誰にも分からない。だが、彼の提案に反対した人間の言葉が私は気に入らない。

 「前例がない」

 どんな企業でも、この言葉がネックになってはいないだろうか。出版界でも、大ヒット商品は、えてして企画段階では多数の反対にさらされたものが多い。今やビールの定番となったアサヒの「スーパードライ」も、一世を風びしたソニーの「ウオークマン」もそうだった。

 「ビールはもともとドライなもの」

 「音楽は部屋で聴くもの」

 大ヒット商品は、いつも消費者の常識、固定観念を打ち破って誕生する。

 『皆がNOならやってみろ』。こんなタイトルの本を古本屋で見つけた。著者は黒崎勇さん。すでに亡くなられたが、戦後間もなく、光文社で『少女』『女性自身』など女性向け雑誌をはじめ、『少年』など数々の雑誌を成功させた名編集者である。いずれも、当時としては画期的な商品だった。後に祥伝社のトップとして活躍されたが、経営者としてもすぐれた手腕を発揮した。

 そんな黒崎さんの著作のタイトルは、一流のクリエーターの決断法を如実に表しているといえる。お会いすることはなかったが、戦後の出版界ではその名をとどろかせた人物である。

蛮勇なくして成功なし

 私自身、出版プロデューサーとして何冊かのミリオンセラーを手がけてきた。それらの書籍は、企画段階で誰もが売れると太鼓判を押されたものは一冊もない。私とごく一部の人間を除いて――。編集部や販売部など関係者のほとんどが、出版に関して冷ややかな反応を示したものだ。

 「こういう傾向のものはヒットした例がない」

 「誰が買うんですか」

 「無名の著者で実績がない」

 異口同音に、そういわれた。だが、その中に必ず「面白い、やりましょう」という人物がいた。そういう人物の支えがあって、私の企画が実現し、世の中に大ブームを巻き起こした。

 多くの反対者がいるにもかかわらずゴーサインを出してくれた編集者は、誰もが共通した特性を持っている。

  • 何でも面白がる(=明るさ)
  • 新しさ(=前例がない)を求める資質
  • 独自性(=風変わり)に対する尊敬
  • 明確な消費者(=時代と街の息吹)のイメージ
  • 直感に基づいた「蛮勇」(=チャレンジ精神)

 私の経験からいえば、大ヒット商品の成功の担い手たちは、この5つの特性を持っている。とりわけ、大切なのは「蛮勇」だと思う。とくに上に立つ人間には必須のものだ。これがないと、部下はついてこない。一流の人間は、最終的には否定的な理屈をこねず「ままよ」と飛び込んでみる勇気を持っている。

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