コミュ上手を手本にしない、ちょっと意外な“脱コミュ障”へのプロセス(1/4 ページ)

公認会計士・まーやんの「20代後半までコミュニケーション下手だった」という告白に驚いてインタビューを申し込んだ開米さん。そのために仕事で問題を起こしたこともあるというまーやんが、コミュ障を克服した意外なきっかけとは……?

» 2014年02月21日 11時00分 公開
[開米瑞浩,Business Media 誠]

 例えばあなたが「これからバリバリ働きたい」「人に感謝される、いい仕事をしたい」と考えている若手社会人だとしたら、ビジネスにおいてコミュニケーション能力がいかに大切か、よく分かっていると思います。「常識だよ」と思う人も多いでしょう。実際、昨今の採用の基準では、新卒・中途採用を問わずコミュニケーション能力を重視しない会社はない、と言ってもいいぐらいです。

 しかしその“空気”は、コミュニケーション能力に自信がない者、いわゆるコミュ障にとっては非常にツラいことでもあります。まるで「コミュ力のない奴は社会人失格だ!」と言われているような気がしてしまうのです。何とかしたいと思いつつも、苦手意識が先行すると気持ちが萎縮してますますうまく行かなくなり、また自信をなくすという悪循環……何を隠そう、この記事の筆者である私自身も、20年前はそんな状態でした。

 だからこそ、あるときふと目にとまったフレーズに興味を引かれたのです。

「コミュニケーションが上手な人の真似をする必要はない」という言葉が、どうしようもないコミュニケーション下手だった僕の前に道を開いてくれました。

 こうSNSに書いていたのは、公認会計士の「まーやん」こと眞山徳人さん。眞山さんは大手監査法人でマネジャーとして監査業務、コンサルティング業務に従事する一方、誠では「数字のオモテとウラを学ぶコラム」、日立システムズのWebサイトでは「会計×コンサル物語 〜BizQpid(ビジネス・キューピッド)〜」(参照リンク)を連載するなど、多方面で活躍中です。

 眞山さんとは既に面識があり、コミュニケーション下手という印象が全くなかったので、この「どうしようもないコミュニケーション下手だった僕」という書き込みは非常に意外でした。そこで思わずインタビューのアポを取ってしまった……のがこの記事の発端です。

 いったい何が眞山さんを変えたのでしょう? そして「上手な人の真似をする必要はない」という言葉の真意は、いったい何だったのでしょうか。(以下、聞き手は開米瑞浩)

「リーダー」になって、コミュニケーション下手に気づかされた

公認会計士の眞山徳人さん

――先日SNSに眞山さんは「どうしようもないコミュニケーション下手だった僕」と書かれてましたよね。以前お会いしたときの印象からは信じられませんでした。謙遜(けんそん)ではなく、本当にコミュニケーションが苦手だったんですか?

眞山: 本当にそうだったんです。今思うと、どうしようもないぐらいの。最近会う人には、信じられないと思いますけど。

 時期としては今から5年前ぐらいですね。それまではそんな自覚もなくて、自分は仕事ができると思っていたぐらいでした。でも、職場での立場が変わり、リーダーになったときに、コミュニケーションに関する問題が噴出して……自分がその面ではいかにダメかということに気づかされました。

――気づくきっかけになった「立場の違い」とは、具体的にどのようなものだったのでしょうか。

眞山: 監査法人に入ってから数年間は、上司から指示された仕事をして報告する「作業者」の立場だったので、コミュニケーション能力がなくても務まったんです。極端に言えば「仕事はExcelの画面でするもの」……と、そんなふうに思っていたぐらいです。今思えば大きな誤解なんですが、当時の私は、調査分析をして結果をドキュメント化するといった仕事は得意で、それを上司にも評価されていたこともあって、その誤解がなかなか解けなかったんですね。

――なるほど、上司に指示される「作業者」の間は問題が起きなかった。しかしリーダーになると……

眞山: リーダーになると、上司ではなく自分がチームをとりまとめて顧客とコミュニケーションを取る必要が出てきます。そこでそれまでは隠れていた「コミュニケーション下手」の問題が噴出したんです。27〜28歳くらいのときです。

――具体的に、どんな問題が起きたのでしょう?

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