連載
» 2014年02月25日 10時00分 UPDATE

満員電車にサヨナラする方法:クラウドがもたらす“働く”という労働市場の革命

かつてeBayやYahoo!オークションが、一部のプロだけに参加が許された閉ざされた市場に不特定多数の人たちが参加できる新潮流を起こしました。クラウドソーシングも同じように、働くという労働文化に大きな変革をもたらす可能性があります。

[秋好陽介,Business Media 誠]

集中連載『満員電車にサヨナラする方法』について

shk_rbook.jpg

 本連載は、2013年12月21日に発売したランサーズ代表、秋好陽介著『満員電車にサヨナラする方法〜時間と場所にとらわれない新しい働き方〜』(ビジネス社刊)から一部抜粋、編集しています。

 ブロガ―ちきりんさんやグロービス代表の堀義人氏も推薦! 日本初のクラウドソーシングサービス「ランサーズ」の代表、秋好陽介氏が提案する時間と場所にとらわれない新しい働き方とは?

 インターネットが普及している現在、出社しなくてもできる仕事は珍しくありません。もしかしたら「この通勤時間を仕事時間に使えたら、どんなに生産的だろうか」「通勤時間を労働時間に変えれば、家族と過ごせる時間が増えるのに……」「通勤時間を労働時間に変えれば、プライベートをさらに楽しむことができるのに……」と感じたことがある人もいるのではないでしょうか。

 世の中の人々が自分の価値観、好み、感性のおもむくまま自由に生きられる、そんな面白い時代が、すでに始まっています。


 雇う人と雇われる人の関係がフェアになる、これは大きな変革だと私は思います。おおげさではなく、電気が開発されて人間の活動時間や活動領域が飛躍的に向上したように、車が開発されて人や物の動きが劇的に変わったように、クラウドソーシングによって働き方が大きく変わり、電気や車が開発されたのと同レベルの文化的、社会的な変革をもたらす可能性さえあると、私は信じています。

 例えばAmazonなどのECサイトが登場したことで、世の中の購買行動は劇的に変わりました。彼らが、それまでの小売店とは違う文化を作り上げたからです。Amazonの理念は、「地球上でもっとも多くの品揃えを持つこと」であり、これは、販売する商品を、どんどん売れ筋商品に絞っていくという、それまでの小売の常識とは180度異なるものです。ネット上のショッピングモールを築いた楽天や、インターネット通販のZOZOTOWNも基本的に同じモデルです。

 インターネットでは顧客を開拓したり、プロモーションをする費用がまったくいらないか、無視できるぐらい微小ですむので、限られたニッチな市場を相手にする商品の販売でも十分に採算が成り立ちます。

 このため、通常の小売店では販売効率やコストの問題でラインナップ不可能な大量の商品をこれらのECサイトで気軽に選んで買えるようになりました。しばしばロングテール理論で説明される理屈です。

shk_work01.jpg

 その結果、何が起こったかというと、優れた技術を持つ中小企業やセンスのよい衣料品などを作っている個人ブランドの店に、世界中から「あなたの製品を売ってくれ」という人が殺到するようになり、ビジネスの在り方も変わったのです。

 それまでニッチな分野の商品を扱う企業は、自分の扱う商品にニーズがある顧客を持っていそうな代理店や仲介業者になんとかお願いして商品を扱ってもらっていました。ところがなかなか消費者のところまでたどりつかず、お客さんを探すためだけに膨大な費用がかかっていました。けれどいまはECサイトを通して、ほとんど費用を投下することなく、世界中からお客さんを集めて直につながることができるようになったのです。

 このために、それまでのビジネスの常識ががらりと変わりました。もう代理店に仲介料を払う必要もなく、お客さんを探すプロモーションもいりません。いまの顧客に支持される商品開発をずっと続けていけばいいのです。

 従来、商品を提供しているメーカーと、その商品を売っている販売会社の力関係というのは、決して対等ではありませんでした。メーカーが流通を支配的に統制していた時代もあれば、小売りが強力なバイイングパワーを持っていたときもあったのです。それがネットを介在することでフェアになるということは、極めて画期的なことです。

 モノづくりをする人たちはきっと、ずっと物を作り続けていたい人たちだと思います。でも、作っているだけでは商売にならず、本来は性に合わない営業やプロモーション、取引先の接待などにたくさんの時間やお金を使ってきたでしょう。そういうものがまったくいらなくなり、好きなモノづくりだけを続けていればいい環境は、彼らにとって理想的な環境のはずです。結果的に、商品開発の速度や完成度も飛躍的に向上したことでしょう。

 これにより、買い物の文化が大きく変わりました。それまで消費者は、ナショナルメーカーが提供する既製品の中から、自分のニーズにより近いものを選んで買っていたわけです。しかし現在では、ニーズにぴったり合うものをネット上で見つけて購入できるようになったのです。

 Amazonや楽天に限らず、インターネットサービスで成功した企業は、リアルで行われていた流通やサービスをネット上に取り込むことで、ビジネスのあり方を大きく変え、それによって社会文化にある変化をもたらしています。

 ECサイトで扱っていたのは物品です。ですから、買い物や物づくりにかかわる文化を変えました。キンドルが扱っているのは電子書籍です。したがって出版の文化までをも変えました(日本では過渡期ですが、アメリカでは2012年1〜5月で2億8230万ドルを売り上げています[TechCrunchより])。

 eBayやYahoo!オークションで扱っているのはオークションです。いままでは、ごく一部のプロだけに参加が許された閉ざされた市場だったオークションに、不特定多数の人たちが参加できる新しい潮流を起こしました。クラウドソーシングでも、これらのネットビジネスの覇者が起こしたような文化の変化を起こせるはずです。

 では、クラウドソーシングは何の変化を起こすのでしょうか? クラウドソーシングが扱っているのは「仕事」です。したがって、人々の働き方が変わります。物の動きや本の読み方(買い方)が変わっただけで、これだけ私たちの生活が変わったのです。

 まして働き方が変われば、物品の流れが変わることとは比較にならないぐらい、本質的なところで変化をきたすはずです。なぜなら、働くことは、人々の生活の根幹であり、1人1人の人生や、あるいは国家の経済や行政機構の運営にもかかわる遠大なテーマだからです。この部分が変わるということは、社会を大きく変えてしまう可能性すらある……私がいまこのビジネスに感じている果てしない未来と希望、その興奮を少しでも感じていただけたでしょうか?

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ