「リーダーがやるべきことは断言」――宣伝会議 編集長のチームリード力ベストチーム・オブ・ザ・イヤー(2/2 ページ)

» 2014年02月27日 11時00分 公開
[ベストチーム・オブ・ザ・イヤー]
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―― リーダーとして意識していることは?

谷口氏: 最近思うのは、リーダーもチームメンバーの一員だという意識を強く持つことかな、と。リーダーとメンバーに分け隔てはなく、全員がチームを有機的に機能させる一員なんですね。だから、肩書きにとらわれずに、それぞれのメンバーがチームを引っ張るという当事者意識を持って、役割を明確にしていくといいかなと思います。

―― チームワークって、絆などのゆるやかなつながりに加え、メンバー各自がリーダーシップやスキルを発揮することで生まれると思っているんです。

谷口氏: 日本は「和をもって尊しとなす」という心の文化があり、調和を保とうとする考え方があると思います。一方で、悪い言い方をすると、「出る杭は打たれる」。多くの人から共感されたTVドラマ『半沢直樹』も、その象徴だったかもしれません。

 「和をもって尊しとなす」が通用したのは、「今日より明日がよくなる」という世界が前提にあるからこそなのかもしれません。でも今って、明日がより良くなる保障はないですよね。だからこそ、「和」や「絆」とは異なるチームワークを発揮して、チームを作っていく必要があるのかなと思います。

 「日本に、本物のチームワークを」――。第51回宣伝会議賞のベストチーム・オブ・ザ・イヤーさんの課題を見た時は、素直に納得感がありましたね。

―― 個のリーダーシップが必要ということ?

谷口氏: 「みんな仲良し」で仕事をしていても、そのチームは衰退していく。これは体感的に分かるんですよね。だから、常に個人のスキルアップが必要というか、自らがチームの中で範を示して、個人個人でリーダーシップを取っていかないと、と思いますね。

「さらけ出したくない過去の原体験が、人を動かす」

―― 今回、ベストチーム・オブ・ザ・イヤーは宣伝会議と協力し、「新しいチームワークの価値」を伝えるコピーを募集しています。ずばり、谷口さんが考える「コピーを作る時に大切なこと」は?

谷口優氏 学生時代にコピーライティングの勉強をしていた谷口氏。「過去をさらけ出したコピーが、人に共感される」と気づいた

谷口氏: 「過去の経験や思ったことを、さらけ出す」という姿勢ですね。コピーは自分の経験や過去の蓄積からしか生まれないと思います。一人の“超原体験”のようなものが根っこにないコピーだと、やっぱりほかの人は共感してくれないんです。

―― そういう意味では「チームワーク」って誰もが経験したことがあるテーマですよね。

谷口氏: そうですね、自分とチームのかかわりを改めて考えてみると良いかと思います。チームで仕事をしていて「うれしかった」「困った」「リーダーシップを発揮できた」――その人それぞれの原体験をもとに作ったコピーが、人を動かすと思うんです。

 私が最初にお話した「チーム」に対する考え方って、超批評家的ですよね。その視点からは人を動かせるコピーは生まれないと思うので、そこは反面教師にしていただけたらと(笑)。

―― “恥ずかしくて知人には話せない”ような過去の体験と向き合ってみると、発想が生まれる。

谷口氏: はい。一方で、自分の経験だけにこだわらず、「疑似体験」も考える下地になるんですよ。リーダーシップを発揮してチームを引っ張ったことがない人でも、サッカー日本代表の試合を見て、「ここに本物のチームワークがある」と感じれば、その感情を出発点にしてもいい。考えるための題材って、実は自分の周りにたくさんあるんですよね。

谷口優氏

(取材・執筆:藤村能光/撮影:橋本直己)

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