子育て環境は、男性の“働き方”から変えていこうRe:Work !・最終回(3/3 ページ)

» 2014年03月18日 11時00分 公開
[三河賢文,Business Media 誠]
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“働き方”が変われば、子育てはもっと楽になる

 「出産・子育ては女性の役割」という時代は、もう終わっています。ですから私は、男性こそがこれから変わっていくべきなのではないかと思うのです。もちろん女性の視点から、子育てしやすい環境を整えることは大切でしょう。しかしそれだけで解決するほど、少子化問題は簡単ではありません。

 私が独立した当初、妻は多くの不安を抱えていました。しかし今、出産や育児の点で話を聞くと、決まって「家にいてくれて助かった」と言います。これは私の家庭の話に過ぎませんが、私の環境において今のスタイルはベストだったのだと感じています。

 もちろん、独立するだけが方法ではありません。

 例えば会社として、緊急時には自宅で仕事ができるような体制を作ることもできます。今はさまざまなインターネットサービスがありますので、本気で取り組めば難しいことではないでしょう。データ共有や会議など、オンラインで行える手段は山ほどあります。むしろ「会社に出社しなければいけない」理由を見つけるほうが、難しいくらいです。あるいはフルフレックス制を敷いて、勤務時間など個人の裁量に任せる部分を大きくするのも1つの手段です。

 男性に対し育児休暇の取得を推進していくのも良いでしょう。ただしその場合、復帰した時のことも良く考えなければいけません。やはり男性にとって、「稼ぐ」ことは大切です。長く仕事に就いていれば、プライドだってあるでしょう。育児休暇を取得したことで、復帰後に役職や給与が下がったり、全く別の(特に本人の全く望まない)部署へ異動させられたりするのであれば、やはり男性にとって育児休暇は取りづらいものになってしまいます。

 男女とも、仕事における時間や場所という制約が少しでも緩和されたら、互いに仕事をしながら、協力して子育てを並行することもできるのではないでしょうか。

私の妻は、アルバイトで洋菓子店の店長を任されています。責任もあり、やりがいの感じられる仕事のようです。そして私はフリーライター、そして会社経営という2つの仕事に取り組んでいます。2013年4月からは、都内の某中学校で週3回、陸上部の外部コーチとしても働き始めました。

 そんな我が家において、月曜の保育園迎えは私の役割。なぜなら、妻の仕事がどうしても遅くまで入ってしまうからです。保育園から「お子さんが熱を出して」と連絡が入れば、私か妻、どちらか時間がある方が迎えに行き、そのまま病院へ。たまにお互いに抜けられないこともありますが、その際は私がアポイントなどを終えてから、急いで向かうことが多くなっています。子育てによって、仕事が滞ったことはありません。

 しかし、子育てに追われてもいません。

 妻はスポーツジムに通うのが楽しみ(特にヨガなどが好きらしい)で、保育園へのお迎え前に行くこともしばしば。「どうしても出たいプログラムがある」というときは、たまに私がお迎えを頼まれます。一方で私はマラソンが趣味ですが、土日は妻も仕事がないことが多いので、月数回はレースに出場。

 「土日は子どもたちと遊ばないの?」

 と言われそうですが、子どもとの時間は平日だって十分に取れます。特に旅行など行く場合にはお互いに仕事のスケジュールを調整し、あえて平日に行きます。子どもたちは保育園をお休みしますが、そのほうが旅行先も空いていて、子どもたちが満足いくまで遊び回れるからです。

 これはあくまで私の実体験に基づく例ですが、働き方が変われば、生活全てが劇的に変えられます。以前勤めていた会社にいれば、今とは違う状況になっていたでしょう。それが良いのか悪いのかは分かりませんが、少なくとも私にとって、今の働き方はベストです。

 「出産」「子育て」というフレーズを聞くと、どうしても女性の問題のように思われがちです。しかし子どもという存在は母親のものではなく、夫婦にとってかけがえのないものであるハズ。それならば、出産・子育てもまた男性がもっと積極的に取り組んで然るべきではないかと思います。

 もちろん家庭環境や夫婦の考え方によって、意見はさまざまでしょう。しかし男性の理解・協力は、欠かせないはずです。もっと多くの人々が子育てに対し前向きになり、そして子育てを楽しめる社会になってほしい。そのために、“働き方”の見直しは1つの有効な手段となるのではないでしょうか。


 さて、2012年に開始した本連載『Re:Work !』は今回で最後となる。新しいサービスやプロダクトが登場する中で、私たちはそれらツールを活用してどのような新しい働き方ができるのかを考えてきた。

 あなたにとって「働く」とはどういうことだろうか。ぜひいま一度、何のために働き、そして働くことそのものをどう感じているのかを見直し、「仕方がないから仕事をする」といった抜け出してほしい。本連載がどのきっかけとなれば幸いだ。

著者紹介:三河賢文(みかわ・まさふみ)

 1983年岩手県生まれ、宮城県育ち。人材コンサルティング会社、Web関連会社での勤務を経て、2010年6月にナレッジ・リンクスとして独立。「時間の自由」を第一としたワークスタイルを実践中。多くのSOHOやフリーランスワーカーとパートナー関係を持ち、業務機会の提供を行っている。プライベートでは2人の子どもを持ち、マラソンやトライアスロンにも挑戦。ITやビジネス全般を中心とした執筆活動も行う。



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