仕事が楽しくたっていいじゃんボクの不安が「働く力」に変わるとき・最終回(2/3 ページ)

» 2014年03月19日 11時00分 公開
[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),Business Media 誠]

楽しくない仕事に起こった「小さな変化」

 しばらく続けていたら、本当に少しずつなのですが、「話を聞いてもらってスッキリしました」「この間、お客さんから褒められてうれしかったです」……そのような声が同僚から聞こえてくるようになってきました。同僚の表情も明るくなり、自発的に意見を言ったり、行動したりする人も増えてきました。

 そのような変化を感じていたとき、ふと気が付いたのです。「そういえば最近、仕事が楽しいと思うようになったな」……なぜだろうと思いました。少し考えたら分かりました。「そうか。今までは、職場が悪い、上司が悪いと不平不満ばかりだったけれど、自分ができることをやったおかげで、周りに変化が起こっているからだ」と。同僚の表情や、聞こえてくる声の変化がとにかくうれしかったのです。

 合わせて、こうも思いました。「今まで、仕事の楽しさというのは、好きなことをやるとか、やりたい仕事をやるみたいな、“何をするか”が大事だと思っていたけれど、本当に大切なのは“変化がある”ということなんだ。それなら、できることしかできないけれど、自分でできることはやってみよう」と思ったのです。

 それから、少しずつ好循環が起こり、少なくとも筆者の周りの同僚の雰囲気は随分と変わりました。自分自身も居心地よくなったのです。結果的には、人の成長にかかわることに喜びを感じるようになり、プログラマーから人材育成や職場環境改善に関する仕事に進路を変更するに至りました。

「やる気が出ない無限ループ」が上昇気流に変わるとき

 以前、ITmediaエンタープライズに「やる気が出ない本当の理由」という記事を寄稿しました。やる気が起きないときは、「つまらないからやる気が起きない」→「やる気が起きないから、新しい行動を始める気にならない」→「行動しないから変化が起こらない」→「変化が起こらないからつまらない」→「つまらないからやる気が起きない」……という負の無限ループが起こっているという内容です。

 しかし、自分ができることをやってみて、小さな変化を感じられるようになると、「変化が起こるから楽しい」→「楽しいからやる気が起こる」→「やる気が起こるから新しい行動を始める気になる」→「行動するから変化が起こる」→「変化が起こるから楽しい」……という、正の無限ループ、上昇気流のスパイラルが始まります。

 この、上昇気流のスパイラルに入ると、無理にやる気を「出そう」としなくても、自然と「出てくる」し、無理に「頑張らなきゃ」と思わなくても、自然と「頑張りたく」なります。そして、無理に仕事を「楽しまなきゃ」なんて思わなくても、自然と「楽しく」なってきます。

 小さな変化を感じられればいいので、大きなことでなくても構いません。「毎朝あいさつをしてみる」「デスクの上をきれいにしてみる」「定型書類を使いやすくなるように変えてみる」「同僚の話を聞いてあげる」のような小さなことからでいいのです。こういうのが苦手なら、まずは自分の気持ちを大切にして、1日をゴキゲンな気持ちでスタートできるように「カフェに立ち寄ってみる」から始めてもいいでしょう。

 今までとは違うことを始めてみて、「自分がどう感じているか」「自分の気持ちに変化があるか」をよく観察してください。そして、あまり気分が良くならなければ別のことを、気分が良ければそれを継続します。

 そうすると、ふと気が付く日が来るでしょう。「そういえば、最近仕事が楽しくなってきたな」と。ポイントは「小さな変化を継続する」です。

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