上司から「確実に失敗する」指示を受けたら、どうする?ICHIROYAのブログ(2/2 ページ)

» 2014年03月31日 11時00分 公開
[和田一郎,Business Media 誠]
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反応には3つのパターンがある

 例えば、確実に失敗に終わると思われるやり方を自分のチームでやるように指示されたとする。そのときの反応にはいくつかのパターンがある。

  1. 失敗の理由を説明して断る
  2. 説明したものの受け入れられないのでやむなく了承し、チームに持ち帰るもののサボタージュする
  3. 渋るチームメンバーを説き伏せて、とにかく全力で当たらせる

 どう反応するかはその上司の力量にもよる。弱腰だったり、力量がなかったり、新任で事情がよく分かっていなかったりすると、1.になりがちだと思う。そして、1.の方法で無理難題を拒否したリーダーは、現場のチームメンバーからは大喝采を浴びるだろう。とくに、経験の浅いリーダーや、すでに実績を上げているリーダーはそういう反応をする。

 そもそも、組織の上部でなされた決定は、現場に降りてくると「確実に失敗に終わると思われるやり方」に見えることが多く、実際、そういうことも少なくないだろう。筆者の19年間の会社勤めの経験で言うと、指示やスローガンのたぐいはほとんどそういうものだったし、おおむねの手慣れた現場リーダーたちは、2.の方法でやり過ごしていたように思う。

 しかし、組織で求められる人材というのは、たとえその指示が間違っていたとしても、常に3.の反応ができるリーダーだ。

 「上司ができない人だから断った」というのはダメだ。そのできない上司を任命し、何とか動かそうとしているのがその上の上司なのだから。組織はどんな上司であれ、上司としてちゃんと機能することを望んでいるのだ。できない上司を否定すれば、さらにその上の意志をも否定することになる。

 「どうせ無駄だと分かっていたからサボらせた」というのもまた通らない。組織の上層部は、現場よりはるかに広い視野と情報を持っている。現場では無理難題と思われることも、実はそれまでの常識ややり方に囚われていたからで、実際にやってみるとうまく機能することもある。

 無駄かどうかはやってみるまで分からない。できるかもしれないと思ってチームで知恵を絞って取り組めば、素晴らしいやりかたが生まれる可能性もある。楽観的に何でも挑戦することほど、ビジネスで大切なことはないはずだ。

 失敗することがあまりに自明であっても、やはりサボるのはよくない。最高の中間管理職というのは、失敗すると分かっていても部下を説得してチームを動かし、最大の努力を引き出してトライする。そして、最速で失敗してみせるのだ。その結果を持って、早い段階で方向修正や指示の撤回を上司に促す。そして、より良い方向に組織が進むよう、フィードバックしていく。

 そう考えると、上を目指す中間管理職なら、降りてきた指示を簡単に拒否したりサボらせたりすることはできないのは明らかだ。しかし、かつての私がそうだったように、頭では分かっていても、そうふるまうことはとても難しい。

 無駄だと分かっていることを部下に命ずるとき、「うちのチームは成功も失敗も、つねに最速で結果をだすんじゃ!」というかんじで説得したら良かったのかもしれないと、今、ふと気付いた。

著者プロフィール:和田一郎

アンティーク・リサイクル着物を国内外へ販売する「ICHIROYA」代表。昭和34年生まれ。京都大学水産学科卒業後、大手百貨店に入社。家庭用品、販売促進部など。19年勤めたのち、2001年に自主退職して起業。現在に至る。趣味はブログ執筆。


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