ドラえもんの生みの親に学ぶビジネス創造力ナレッジワーキング!!(2/2 ページ)

» 2014年04月23日 08時00分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]
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小さな断片をつむいでいく

 よく「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ」と言われます。藤子・F・不二雄さんも、独創的な発想方法とは100%オリジナルということではなく、数多くの断片をもち、組み合わせる技術だと評しています。決して方程式に材料を入れればベストな答えが出る、といったことはないと。

 例えば、「のび太の恐竜」という作品のアイデアのもとは「野生のエルザ」だそうです。古い作品なので知らない人もいるかもしれませんが、アフリカで親を失った子ライオンを育てる夫婦の話です。最後には愛する子ライオンを野生に戻すため手放すことになります。

 こういった作品を観て、感動したら、なぜ自分はこの作品にほれたのか。どこに感銘を受けたのか。その本質的な部分を探って、感動の根源を探ります。そして、自分なりの味付けをしていく。そのときに、タイムマシン、恐竜、動物を飼いたいけど飼えない住宅事情などいろんな異質な断片を付加していくのです。

 事業やサービスにおいても同じ。自分自身が好きなもの、感銘を受けたサービス、驚いたビジネスモデルなどがあれば、その本質は何か? を考え 表面的なものを取り除いて根っこにあるエッセンスや価値観などを取り出して、自分なりに味付けしていけばよいのです。

 他の業種のビジネスモデルをいただく、他の企業でうまくいった方法をいただく、他のヒット作品の要素をいただく、といった行為は盗作やパクリではなく、あなた自身の血肉となるはずです。

創作とは住宅設計のようなもの

 藤子・F・不二雄さんは、マンガを描く作業は住宅設計に似ているともいいます。つまり、住宅を建てられる敷地や予算は限られている。その限られた諸条件の中で、豪華なリビングが欲しい、窓は大きく、子供部屋も欲しい、といった矛盾したニーズも整理して、消化しなければなりません。結局、何を捨てて、何を残すのか、それが大変重要です。

 事業やサービスも、何でもかんでも盛り込むと予算がかかります。いろんな要素が入るのは結構ですが、それが行き過ぎると何でもありで特徴がなくなります。

ビジネスは限られたリソースの最適化。何をとって、何を残すのか。やはり住宅設計に似ています。

 そして、住宅に住んだ人々が幸せな生活が送れるよう、厳しい条件下でさまざまな工夫をこらす。これがイノベーションとなり、新たな競争力となります。

 夢と冒険を追いかけた藤子・F・不二雄の発想術に学ぶ仕事のヒント。私たちも自分なりの四次元ポケットから、世の中を変える新しい価値を提供していきたいものです。

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

Twitterアカウント:@nagatameister


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