主語と動詞をハッキリさせる「で、結局何が言いたいの?」と言われない話し方(2/2 ページ)

» 2014年04月24日 11時00分 公開
[金子敦子,Business Media 誠]
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「ポイントは3つ」

 プレゼンなどで、「ポイントは3つあります。1つは……」などというように、最初にこれから話す項目の数を示すのは効果的な話し方です。「3つ」というのは絶対的に決まっている数字ではありませんが、1つでは確実に伝わるか納得してもらえるかどうか心細く、かといって3つを超えると逆に覚えにくくなります。

 最初にこれから話す項目の数を示すと、聞き手は「3つの点に注意して聞こう」と心の準備をしやすくなります。この「ポイントは3つ」というのは、私が証券会社でアナリストをしていた際も定番の話し方でした。

 証券アナリストは、リポートの発行と同時に要望のある顧客には留守番電話にメッセージを残します。リポートを読む時間が短縮できたり、読むより聞くほうが分かりやすいせいか、とくに米国の投資家にとても人気がありました。

 留守番電話のメッセージの基本的な構成は、

  1. 自分の所属と名前、銘柄、推奨、目標株価
  2. 見方の変更点、根拠となるポイント3つ
  3. 1.のまとめ(再度繰り返し)

 です。例えば、次のようになります。

1.「 ○○証券の金子です。任天堂7974、買い、目標株価○○円についてリポートを発行しました」

2.「 ○○証券営業利益予想を上方修正したことにともない、目標株価を引き上げました。利益予想上方修正の理由は3点、携帯型ゲーム機の販売台数は会社予想および○○証券予想を上回って推移していること、ソフトウェアの販売も同様に会社予想および弊社予想を上回って推移していること、為替が円安に振れていることです」

3.「 以上、任天堂7974、買い、目標株価○○円について、○○証券の金子よりご連絡しました。詳細については本日発行のリポートをご覧ください」

 「メインメッセージ+ポイントは3つ+まとめ」という構成は、TOEFLやIELTS(アイエルツ/英語熟練度を測る英国の英語検定の1つ)などの英語力試験でも求められる基本的なフォーマットです。

 これは、さまざまなシチュエーションで使えます。例えば、あなたがコピー機の営業マンで、お客さまに新商品を提案する場面でみてみましょう。

主張:「この新商品がおすすめです」

根拠:「なぜならば、
 1.速く印刷できる(+詳細)
 2.故障が少ない(+詳細)
 3.価格は従来の商品よりも安いからです(+詳細)」

まとめ:「このコピー機は速く印刷でき、故障が少なく、価格もリーズナブルなので、おすすめです」

今回のポイント

「ポイントは3つ」で展開を知らせる。


(次回は「大切なことは短く伝える」について)

著者プロフィール:

金子敦子(かねこ・あつこ)

東京大学文学部卒業。英国インペリアル・カレッジ・ビジネススクール(MBA)修了。

アクセンチュア(コンサルタント・マネージャー)勤務、MBA留学を経て、UBS証券株式調査部(アナリスト・ディレクター)として業績予想および投資判断リポートの作成、国内外機関投資家へのプレゼンテーション業務を行う。

その後、武蔵野大学グローバル・コミュニケーション学部(専任講師)においてビジネス・コミュニケーションをはじめ、ビジネス英語、財務諸表分析・企業分析を担当。


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