訪問先にサプライズ! 「ガリガリ君」を○○代わりに使ってみる「話のおもしろい人」の法則

僕は、相手の意表をついたりびっくりさせたりすることをいつも考えています。なぜなら、そうすることが相手の心を和ませ、気持ちを開いてくれる最高のおもてなしだと考えているからです。

» 2014年04月25日 11時00分 公開
[野呂エイシロウ,Business Media 誠]

集中連載「「話のおもしろい人」の法則」について

本連載は、野呂エイシロウ著、書籍『「話のおもしろい人」の法則』(アスコム刊)から一部抜粋、編集しています。

「話のおもしろい人」は、相手によってカメレオンのように言うことを変え、女性のネイルをチェックし、おみやげにガリガリ君をもっていく。

「話のつまらない人」は、半沢直樹』のように自分を押し通し、女性からのメールをチェックし、おみやげに高級アイスを持っていく。さて、そのワケとは――?

さまざまなヒット商品や人気番組の「かげの仕掛人」が教える、話しベタでも人の心を“ワシづかみ”にできる48の話し方。この法則さえ知れば、

・人に怒られない

・異性にモテる

・仲間に嫌われない

・仕事がうまくいく

で、人生が変わります!


どんな話になってもうまく行く“場”を作る

 僕は、相手の意表をついたりびっくりさせたりすることこそ、心を和ませて気持ちを開いてもらえる最高のおもてなしだと考えています。どうすればあの人の意表をつけるか、どうすればこの人に最短距離で心を開いてもらえるかをいつも考えていて、仕込みや仕掛けを行っているわけです。それは、訪問先には必ず手みやげを持って行くことがマナーであるのと同様、僕にとっては欠かせないプロセスです。

 思うように会話が弾まないと悩んでいる人は、「どう話せばいいのか」ばかりに意識がいきがちです。でも、そもそも相手がどんな反応をするのか分からないので、予測やシナリオの作りようなんてありません。

 では、ここで発想を変えてみましょう。どんな話になってもうまく行くような“場”を作るようにするのです。

 成功例を紹介します。ある企業との会合に、僕は蝶ネクタイで出かけてみました。

 「野呂さん、何、その蝶ネクタイ?」
 「いやー、ある人が蝶ネクタイしているのを見たらかっこよかったので真似してみたんですけど、変ですかね?」
 「似合わないよ(笑)」
 「じゃあ、○○部長、代わりにちょっとやってみます? 写真撮りましょうよ」
 「え! 俺! いやー、俺も似合わないと思うなあ」

 準備は蝶ネクタイ1つ。こんな調子で、10分間くらいみんなで笑っていました。

「ガリガリ君」は○○の代わり

 もう少し手の込んだ準備をしていくこともあります。僕のクライアントさんに、セレブな人たちが勢ぞろいしている企業があります。そこで、高級で知られるジャン=ポール・エヴァンのアイスクリームを手みやげに買っていくことにしました。カップのアイスクリーム6個セットで、なんと5000円近くします。

(出典:赤城乳業)

 でも、これだけじゃちょっと芸がない。以前、このクライアントさんに、猛暑の最中にガリガリ君を30本買い込んで持って行き、驚かせたことがありました。しかし、高級アイスを大量に買うのはさすがに高すぎる。さて、今回はどうやっておもしろくするか……。

 そこで思いつきました。コンビニに入って、また「ガリガリ君」を買います。「また大量買い?」と思ったでしょ? いや、今回は違います。ガリガリ君を6本買って、ジャン=ポール・エヴァンの袋の中に「保冷剤」として詰め込んだのです。超高級アイスと超庶民的アイスの夢のコラボ! かたや6個で5000円、かたや6個で500円!

 「いつもありがとうございます……って、ちょっと野呂さん、なんですかこれ!?」
 「いやあ、ガリガリ君は保冷剤のつもりなんですよ」

 なんだなんだ、とワイワイ人が集まってきます。「俺は庶民だからガリガリ君だなあ」とか、「久しぶりだから僕もガリガリ君をいただこう」と、大いに盛り上がり、やはりみんなが和んでいきました。ずいぶんインパクトが大きかったみたいで、しばらくの間は会うたびに言われたほどです。

 僕は手みやげや差し入れを欠かしません。お世話になっている人たちをねぎらいたい、という思いがあるのと同時に、それで気持ちがつかめるなら費用対効果がとてもいいからです。そこに、さらにサプライズを上乗せしていけば忘れがたい印象を与えられます。

いつも心にサプライズを!

 ある女性の誕生日パーティーを、僕が仕切ったときのことです。

 まず、馴染みのレストランに頼んで、料理やデザートを特別にアレンジしてもらいました。そこまでなら当たり前の話ですが、おかしなことに、パーティーがはじまっても幹事である僕の姿がどこにもありません。やがて、彼女もそれに気付きます。

 「今日は野呂さんに仕切っていただいているんですよね。彼はどこにいるんですか?」
 「それが、野呂さん、急に都合が悪くなって来られないらしいんですよ」
 「そうですか……」

 もちろん、これは周囲とあらかじめ打ち合せたシナリオ通りの流れです。

 いよいよバースデーケーキの登場です。「パティシエ自らケーキを運んで、みなさまにご挨拶します」とアナウンスしてもらいます。

 ゴロゴロと大きなケーキを運んできたパティシエが彼女の前に来ると、ハッピーバースデー! と大声をあげます。よく見ると、それは僕の扮装でした。「今日のケーキは僕の手作りです!」と高らかに宣言しましたが、「そんなもの食えるか!」と一斉につっこまれたのは言うまでもありません。彼女は大喜びでした。

 本業でサプライズをすることこそ、ビジネスパーソンの真骨頂です。しかし、こうした日頃のサプライズ、意表のつき方は、自分が「いかに使えるか、おもしろいか」を表現するショーケースであり、格好のサンプルなのです。

 何より、単純に目の前にいるいつもお世話になっている人をびっくりさせるのは、とても楽しいものです。話が弾まないわけはありませんし、万が一盛大に滑っても、滑り方が派手ですからそれはそれで話のネタになります。

 手みやげを持っていく誠実さに、いくつかのサプライズを加えるだけで、あっという間に特別な「場」を作れるのです。

今回のポイント

意表をつこう! サプライズを仕掛けよう! 相手を楽しませ、自分も楽しむ「場」を作ろう。


 →連載「「話のおもしろい人」の法則」バックナンバーはこちら

著者プロフィール:

野呂エイシロウ(のろ・えいしろう)

1967年愛知県生まれ。愛知工業大学卒。放送作家・戦略的PRコンサルタント。

学生時代に「現役の学生」を武器に、電機メーカー、広告代理店との会議に参加。学生向け家電企画の立案、宣伝、PRに携わる。その後、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』で放送作家デビュー。『ザ!鉄腕!DASH!!』『奇跡体験!アンビリバボー』『ズームイン!!SUPER』などに携わる。放送作家としての「番組をおもしろくするネタづくりのノウハウ」を生かし、30歳のときから“戦略的PRコンサルタント”としての仕事をスタート。


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