あなたをグローバル人材に変える、5つの「日本人プレミアム」とは?一生食える「強み」のつくり方(3/3 ページ)

» 2014年05月07日 11時00分 公開
[堀場英雄,Business Media 誠]
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日本人プレミアムのない土俵「知」での戦い方

 日本人プレミアムが存在しない「知」の領域で勝負する場合、自分の知力のみで勝負しなければいけません。その土俵に入り勝負する前に、そもそもグローバルな環境での競争はどういう土俵で誰と戦うのか理解しておくことは非常に有益です。この領域では、ハングリー精神旺盛な新興国人材、世界の一流大学で最先端の教育を受けてきた人材たちと、グローバルな戦いを勝ち抜かなければなりません。

 これからの時代の「読み、書き、そろばん」は、「IT、英語、会計」だと言われて久しいですが、ではこれを信じて、英検1級レベルの英語力を身につけ、CPA(米国公認会計士)の資格を取ったとします。どうなると思いますか?

 じつはこれでは、将来、年収200万円になってしまう可能性があるのです。なぜなら、年収100〜200万円の範囲にいるインド人の中には、これと同等のスキルを持っている人たちがたくさんいて、英語のできるCPAを雇うのに、日本人でもインド人でもどちらでもよいからです。そして会計にはIFRSというグローバルな基準があり、会計基準はどんどん統一される方向です。株を買うなら、サムソンかパナソニックか、GMかトヨタか――、同じ基準で比較したいのが、世の中のニーズだからです。

 習得するスキルの選び方を間違えてしまうと、がんばったのに思い描いていた結果を得られなくなってしまいます。今の時代、「英語くらいできないといけない」「会計の知識はビジネスで重要」というのはどちらもそのとおりなのですが、そのために多くの時間とお金を投資してこのような結果になってはたまりません。グローバル人材になったつもりが、自らインド人との競争にみすみす飛び込んで、困ることになりかねないのです。

 実際、世界のエリートが集まるグローバルな競争環境はどのようなものなのでしょうか? マッキンゼーやBCGの現場は、DeNAを急成長させた南場智子さんや日本マイクロソフト社長の樋口泰行さんといった超できる人たちですら逃げ出したくなるほどの修羅場です。

 私自身、奨学金つきで米国留学をし、修士レベルの工学を学びながら同時に英検1級を取得し、就職後は技術者から財務に転向して、即戦力を求められる外資でもそれなりに仕事をこなしと、世間から見れば「できる人」と思われるほうでしょう。そしてBCGという「知」の世界の土俵に、自信満々で足を踏み入れました。しかし、結局逃げ出すように辞めることになってしまいました。あまりの厳しさに心の病になり再起不能になるところでした。

(写真と本文は関係ありません)

 あなたはゴールドマンサックスやマッキンゼー、GE、グーグルといった外資系企業でバリバリ働き、生き残る自信はありますか?

 もし現時点で本気で戦える自信がないのなら、実力が付く前に知の世界にいきなり飛び込むのは無謀です。世間にあふれる、これからはグローバルの時代だとあおる広告にだまされ、軽い気持ちで挑戦などしようものなら大火傷です。一方で、この戦いは誰にでも平等に、非常に大きく稼ぐチャンスも与えてくれます。実力さえあれば、どんどん出世し年収1億円も不可能ではない世界です。「実力主義こそ、この世のあるべき仕組みだ」という人にとっては最高の土俵ではあります。

 では知の世界で勝負するにはどうすればよいのでしょうか? この「知」の土俵で戦うためにはしっかり力をつけなければなりません。可能であるならば、キャリアの初期に一流企業に就職し、会社から投資してもらうことを狙います。各分野でナンバー1の企業でのスキルアップを狙う、グローバル・ナンバー1戦略です。

 例えば、GEでは、FMP2年、CAS5年を経て各国のビジネスのCFOになることも可能だと序章でも紹介しました。また、大変な激務ではありますが、BCGのような経営コンサルティングファームでアソシエイト3年、コンサルタント2年を経てプロジェクトマネージャーになれれば、その後は身につけたスキルやキャリアのブランドで食いっぱぐれずに済むかもしれません。日系企業でもグローバル・ナンバー1で経験を積むことは同じようにブランドを得られます。

(つづく)

著者プロフィール:

堀場英雄(ほりば・ひでお)

1978年生まれ。名古屋大学卒業、米国の大学院卒業(原子核工学修士)。

20代はGE、BCGといった一流外資企業でプロとしての成功を一途に目指す。

30代になり大手日系メーカーに勤務しながらも、今まで習得してきた「英語力(米国大学院)×財務スキル(GE)×戦略立案力(BCG)」のかけ算で、オンライン英会話学校バリューイングリッシュを設立。同校の学長を務める。

多忙な留学・社会人生活の中でも、効率的に次々とスキルを習得する力には定評がある。


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