アウトプットを意識すれば頭は良くなるナレッジワーキング!!

見たり、聞いたりしたことを記憶するだけでは、ビジネスパーソンとしての成果は成し得ません。インプットの段階で「どのようにアウトプットするのか」を意識しておきましょう。

» 2014年05月07日 09時30分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

 頭が良くなりたい――。誰もが持っている願望でしょう。いろいろな複雑なことがきれいに整理でき、頭に染み渡るような感覚が持てたらどんなに幸せでしょう。実は普段の意識付け次第で可能になるのです。

 筆者は自分のセミナーなどで「頭の良い人ってどんな人ですか?」という質問をよく投げかけます。すると「物事をよく知っている」「質問にスピーディに答えられる人」「頭の中がきれいに整理されている人」など、インプットの面を挙げる人が大勢います。

 確かに物知りで何でも答えられるのは悪い話ではありません。しかし、ググれば誰もが知り得る事柄をいくら頭に入れても検索エンジンには勝てません。単純回答をどんなスピードで成し遂げたとしても機械には勝てません。入れたものを単に出すだけの能力は思考とは言えないのです。

人間はコンピュータより創造的なプロセスで動ける

 では、思考とは何でしょうか? 人間をコンピュータに例えると分かりやすいでしょう。コンピュータは外部からのインプット(キーボード入力、センサーによる情報収集、各種信号の受け取り)情報によって、CPUをはじめとする演算処理装置でそれらの情報をある目的のために計算し、結果をモニターにアウトプット(出力、表示)したり、さらに外部の装置へ新しい信号を送ったりします。つまり、インプット→計算→アウトプットというプロセスを経ています。

 人間も同様です。「読む」「聞く」「見る」ことはインプットであり、それらを脳が処理します。しかし、「記憶する」だけではビジネスパーソンとしての成果は成し得ません。

 私たちの価値は、どのようなアウトプットを生み出すかにかかっているのです。文章やデータを読んだり、相手の説明を聞いたり、相手の表情を観察したり、映像を見たりすることによって、最終的には「書く」「話す」「プレゼンする(魅せる)」などのアウトプットを生み出す必要があります。

 つまり、単に入れたものを出すのではなく、入れたものを理解し、自分自身の経験を基に肉付けしたり、他の情報と結びつけて比較したり、複雑な情報をそしゃくしてモデル化したりして、自分の言葉、自分の絵としてメッセージを伝える必要があるのです。いわば、コンピュータよりもっと創造的なプロセスです。

アウトプットを意識すれば脳が活性化する

 そして、インプットとアウトプット(メッセージをカタチにしたもの)の間にある大事な管制塔が脳であり、処理システムが思考ということになります。

ナレッジワーキング!!

 頭を良くしたいのであれば、最初にとりかかるべきはアウトプットへの意識付けです。誰に、どのように、アウトプットするかを意識しながらインプットを行うと理解力や記憶力が大きくカイゼンします。

 筆者自身も、インプットのときには「セミナーで優れたエピソードとして取り上げるとしたら?」「小学生の子供に説明するとしたら?」「自分の本にテーマとして取り上げるとしたら?」と、さまざまな想像をしながら、読み、聞き、見るようにしています。アウトプットを強く意識することで、受動的だった脳は活性化し、他人事の情報ではなく自分のものとして取り込まれるようになるのです。

 人気ジャーナリストの池上彰さんも、NHK時代に「週刊こどもニュース」という番組を10年以上担当していました。1週間の出来事を子供たちに理解してもらえるように、例えば複雑な構造を説明するのにアニメーションを使ったり、日本の財政を家計簿に例えたりと、さまざまな工夫を凝らしていました。

 このときの「このニュースはこどもたちに伝えるとしたら、どうすればいいか?」という強い意識付けが、日本一分かりやすい解説者としての土台になっているのは間違いありません。

 みなさんも、「読む」「聞く」「見る」といったインプットで、次のことを意識してみてください。

これを何の予備知識のない上司にプレゼンするとしたら……

これを小学生に説明するとしたら……

これを外国人に説明するとしたら……

 アウトプットを前提にしたあなたの脳は活性化し、本当に自分の頭で考える習慣が身に付くはずです。

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

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