「遅刻する人」「待たされる人」――どちらにもならないための法則あせらない練習

遅刻する人のほとんどは常習犯です。まわりからも「時間にルーズなヤツ」とレッテルを貼られています。大切なのは「時間は貴重である」ということを再認識し、遅刻する原因を知りそれを改めることです。

» 2014年05月12日 11時00分 公開
[斎藤茂太,Business Media 誠]

集中連載「あせらない練習」について

本連載は、斎藤茂太著、書籍『あせらない練習』(アスコム)から一部抜粋、編集しています。

休みなしに働いているわりには成果が上がらなかったり、あれもこれもと欲張ってやるわりには何もモノにできなかったり――。周囲に振り回されて自分自身を見失っている人、あなたの周りにもいませんか? そういう人の心の中には、いろいろな情報や思いがグチャグチャとあるだけなのかもしれません。

 ・頭のなかのあせりは、脳を休ませるとだんだん消えていく
 ・「その場しのぎ」をやめれば、あせる気持ちから解放される

不安やイライラは、ちょっとした心の練習でなくなります。あせらないで頭と心さえスッキリさせれば、筋道の通った思考と気持ちの整理もきちんとでき、目的別にゆったりと行動することができるようになります。

本書では、どうしてもあせってしまいがちな人の頭と心をスッキリさせる練習方法を、心の名医であるモタ先生の幸せメソッドにならって紹介します。


「遅刻する人」「待たされる人」――どちらにもならないための法則

 遅刻する人は大半が、常習犯です。周囲からも「時間にルーズなヤツ」とレッテルを貼られているものです。そういう遅刻癖のある人はまず、

 「時間は貴重である」

 と再認識する必要があります。その辺の感覚が欠如していることが多いからです。そのためにも、

 「他人の時間を浪費させる権利は、自分にはない」

 と強くいましめなければなりません。

 ただ人を待って過ごす時間は、たとえそれが5分、10分であっても、実にもったいない。その間に、もっと生産性の高い行動の1つもできるというものです。

 次に大切なのは、いつも遅刻する原因はどこにあるのかを知り、それを改めることです。

 たいていの場合、遅刻の原因は出かける前の準備不足からくるあせりにあります。ここに潜んでいるのは、

  1. 所要時間の見積もりが甘い
  2. 支度にかかる時間の見積もりが甘い
  3. 外出時に持っていく物の点検が甘い
  4. 行動の優先順位のつけ方が甘い

 という4つの「甘さ」です。

 1.については、いまはインターネットで交通機関アクセスや地図を簡単に調べられる時代なのですから、その手間を惜しまずにちゃんと調べればすむ話です。

 2.は、支度にかかる時間を一度計ってみて、プラス10分程度の時間を見積もるといいでしょう。

 3.は、あらかじめ「外出キット」を作っておくことで解決できます。

 4.は、最優先すべきは時間を守ることだと自分に言い聞かせ、出かける間際にどうでもいい突発的な用事が入っても後回しにすればいいのです。

 たったこれだけのことで遅刻癖は必ずや改善できるはずです。ぜひともがんばってほしいところです。

 ただ、遅刻する人だけではなく、待たされる人にも「準備」は必要だと思います。誰と会うときでも、相手が遅刻することを前提に、待たされる時間を有効に過ごす準備をしておくといいでしょう。読みたい本や目を通しておきたい書類を持って行くとか、空き時間にできる電話やメールなど、待ち時間をムダせずにすむ“防衛策”を打っておくと、待たされてもさほどイライラせずに済むはずです。バカ真面目に生きるより、少し要領のいい“ずるさ”も時には必要です。

 他人のために自分の時間をムダ遣いしてあせらないよう、時間に正確な人も準備を怠ることのないようにしましょう。

(次回は、「解決に向けてとことん悩む」について)

 →連載「あせらない練習」バックナンバーはこちら

著者プロフィール:

斎藤茂太(さいとう・しげた)

1916(大正5)年に歌人・斎藤茂吉の長男として東京に生まれる。医学博士であり、斎藤病院名誉院長、日本ペンクラブ理事、日本旅行作家協会会長などの役職を歴任。多くの著書を執筆し、「モタさん」の愛称で親しまれる。「心の名医」として悩める人々に勇気を与え続け、そのユーモアあふれる温かいアドバイスには定評があった。2006(平成18)年に90歳で亡くなったが、没後も著作は多くの人々に読み継がれている。


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