怒鳴る、見下す、すぐ黙る――“感情的”な相手を制する交渉術プロが教えるビジネス交渉術 第5回

交渉スキルを教えていて、必ずウケるのが「感情的になる相手への対策」だ。まずは、相手がなぜ感情的に接してくるのか、落ち着いて考えてみよう。これにはいくつかの可能性がある。

» 2014年05月14日 10時00分 公開
[PR/Business Media 誠]
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photo 感情的な人と議論や交渉をするのは苦手、という人は多い

 交渉スキルを教える際に、必ずウケる“鉄板”ネタがある。それは「感情的になる相手への対策」だ。それだけ、このテーマで悩んでいる人が多いのかもしれない。社会人生活を送っていれば、一度は感情的な相手との交渉で閉口したことがあるはずだ。

 そもそも、スムーズに交渉を進めようとするならば、感情的になるべきではない。互いが譲歩できるポイントを交換し、最後までお互いにとってよりよい結果を突き詰めるのが“交渉”だ。論理が通らない要求をしたり、ムキになって相手を否定したりしようものなら、途端に交渉は前に進まなくなり、互いが損をする結果になる。

 そういった相手との交渉はできれば避けたいものだが、ビジネスとなればそうも言っていられない。不運にも感情的な相手との交渉に臨むことになった際に、どうすればよいのか考えてみよう。

感情的な相手は大きく3パターンに分けられる

photo 取引の場で、大声を出されて萎縮してしまった……そんな経験はないだろうか

 まずは、感情的な相手にはいくつかのパターンがあることを紹介しておこう。“感情的”と一口で言っても、その内容は大きく3パターンに分けられる。

 1つ目は「威嚇」だ。にらみつけたり、脅すように大声を出すタイプがこれにあたる。怒鳴られれば当然こちらは萎縮するし、場合によってはこちらも感情的になってしまい、状況を混乱させてしまうこともある。

 2つ目は「嫌味」。答えられない質問をしつこく繰り返したり、あからさまに軽蔑した態度をとってくるタイプだ。話しているとともかく落ち着かないし、そのうちイライラしてくる。つい感情的になって反論しそうになるところだが、ここはグッとこらえなければならない。

 最後は「沈黙」だ。意外に思うかもしれないが、無関心な態度も“感情的な”対応に入る。何をどう示しても、氷のような反応しかなく、共感めいたものは一切示してもらえない。もちろん会話も弾まずに、気まずい沈黙が支配してしまう。

 こうした相手と交渉するときは、相手の感情的な態度に屈服して譲歩してはならない。「感情的に接すれば、あなたからより多くのモノが得られる」と思われてしまうからだ。ここで失敗すると相手は味を占めて、次も感情的に接してくるだろう。

 まずは、相手がなぜ感情的に接してくるのか、落ち着いて考えてみよう。これにはいくつかの可能性がある。

感情的なキャラをわざと“演じる”戦略

 こういったケースでは、実のところ、相手が意図的に感情的な人間を“演じている”場合が非常に多い。社内では「いい人」で通っている先輩が、社外の交渉となると一変する――といった具合だ。

 もし、相手が感情的なキャラクターを演じているだけなら、その戦術は意味がないと相手に悟らせることが基本的な方針となる。例えば、相手の反応が冷たく、沈黙が場を支配するなら、相手が話すまでこちらも話さなければよい。沈黙を恐れず、逆に相手が沈黙をプレッシャーと感じ始めるまで待てばよいのだ。

 仮に相手が細かい質問を続けてくるなら「なぜその情報が必要なのでしょうか?」と確認しよう。また、嫌味な指摘には「仮にご指摘の点を修正したとして、どうなるのでしょうか?」と聞いてみよう。これらの問いは、相手が質問や細かい指摘を通して、こちらにプレッシャーをかける戦術を止める効果が期待できる。

 もし相手が怒鳴ってくるならば、相手が主張している内容をできるだけ冷静にまとめて返すようにしよう。怒鳴り言葉は非常に内容が薄いものだ。それに対し、冷静で公平なまとめを返し続ければ、相手が怒鳴り続けるのはかなり難しくなる。この場合は、できれば交渉には2名で臨み、1人を聞き役、1人をサマリー専門の役割にあてるといい。

 ただし、もし相手が本当に感情的な性格だった場合や、こちらへの苦情があって感情的になっている場合は、上で示した方法とは全く異なる対応が必要となる。それらについては、実際にコースを受講して確かめてほしい。


 いかがでしたか? 感情的な人は意外と身の回りにいるもの。同僚や上司、場合によっては奥さんとの交渉にも、こうしたテクニックが生きるかもしれません。しかし交渉術というのは頭で分かっていても、実践ではなかなか上手くいかないもの。実際にトレーニングを行い、練習をしなければ身につきません。記事では書けなかったテクニックもたくさんあるのです。

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提供:スコットワーク株式会社
アイティメディア営業企画/制作:誠 Biz.ID編集部/掲載内容有効期限:2014年7月13日

著者プロフィール:増倉洋

スコットワーク株式会社 代表取締役コンサルタント。英国発、世界34カ国24言語で20万人以上をトレーニングしてきた交渉トレーニングの専門家集団スコットワークの日本における代表。同社初の日本人講師として、2013年より日本語で交渉トレーニングを実施している。

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