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» 2014年05月28日 07時30分 UPDATE

ナレッジワーキング!!:その会議には、何人の船頭が参加していますか?

「船頭多くして船山に登る」ということわざにもある通り、多人数でやる会議では物事が決まらなくなりがちです。意思決定のスピードを早めるにはどうしたら?

[永田豊志,Business Media 誠]

 国会中継などで、議論が遅々として進まないのを見るとイライラしますよね。重要な課題ほど早く決めて対応を始めないといけないのに、水掛け論や足の引っ張り合いみたいな議論は何ら生産的ではありません。今回は、意思決定スピードについてです。

有意義な会議ができる適性人数は4〜6人

 「船頭多くして船山に登る」ということわざがあります。指図する人ばかりが多いと方向性が定まらず、思いもよらないところに行き着くというたとえです。英語にも“Too many cooks spoil the broth(コックが多すぎるとスープがうまくできない)”という言い回しがあります。シチュエーションは違えど、人数が増えるとロクな結果にならないという点は万国共通のようです。

 人数が多い会議は、非生産的にならざるを得ません。その理由は、前述のことわざの通りです。人数が多ければ利害の対立する人も複数いて、意見がまとまりにくいということがあります。キーパーソンが多いと最終決定がまとまらないということもあるでしょう。

 2009年にプレジデント社が行った調査では約半数の人が「有意義な会議ができる適性人数は4〜6人」と考え、「キーパーソン1名参加型会議」を支持しています。つまり、多人数で船頭の多い会議は、話がまとまらず、会議時間も長くなりがちなうえ、参加者人数の人件費も考慮に入れれば、最も非生産的な会議の典型といえるでしょう。

日本の経営者は意思決定が遅すぎる

 日本と海外の企業とのM&Aなどを担当するコンサルタントは、海外の企業に対して「日本企業は社内のさまざまなプロセスを経て決めるので、時間がかかる」とあらかじめ釘を差すといいます。

 それでも多くの外国企業のCEOからは「社長なのになぜ決められない」「意思決定プロセスに時間がかかり過ぎる」と不満が出るとか。日本企業のグローバルにおける競争力低下の源泉は、そうした意思決定スピードの差にあるのではないかと思うほどです。

Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学 『Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学』(ケン・シーガル著)

 故スティーブ・ジョブズは、アップルが時価総額トップの大企業になったときでさえ、ミーティングの参加者は最高に頭がよく創造的な最少人数で構成するべきだとこだわりました。アップルでは見物人のような参加者は排除されます。そんな人がいれば、おそらくジョブズから罵倒され、「部屋から出て行け」と言われるのがオチでしょう。

 また、彼らはお互いに参加者の時間を尊重し合いました。会議は必要なときにだけ機敏に開催され、世間話はなく率直に本題に切り込み、短時間で終わらせました。そして1週間単位での進捗を確認したのです。

 ジョブズとともに長年、広告クリエイティブを担当したケン・シーガルは、「プロジェクトの成果の質は、最終意思決定者がかかわる程度に比例し、かかわる人数の多さに反比例する」と結論付けています。

 意思決定権のあるキーパーソンを含めて少数先鋭で議論する。そして意思決定を早くする。ドッグイヤー、マウスイヤーとも言われるほどの変化の激しい時代にあって、強さの源泉は、こうした考えや判断するスピードなのかもしれません。

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

Twitterアカウント:@nagatameister


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