三越の理念に学ぶ“まごころの精神”――耳と目と心で「聴く」「気がきく人」の習慣(1/2 ページ)

接客の心得として、「お客さまの立場に立って考えること」とは、よく言われます。しかし、お客さまが本当に望んでいることを見抜くのは至難の業です。

» 2014年07月18日 11時00分 公開
[上田比呂志,Business Media 誠]
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連載「『気がきく人』の習慣」について

『「気がきく人」の習慣』

本連載は、上田比呂志氏著、アスコム刊『「気がきく人」の習慣』から一部を編集・転載しています。

東京・荒木町で大正時代に創業した料亭「橘家」で生まれ、幼いときからおもてなしのいろはを教わり、成人後は三越やフロリダのディズニーランドで気づかいの極意を学んだ著者による「気づかいのコツ」を紹介します。

気づかいができるようになると
・上司、先輩に可愛がられる
・人間関係がうまくいく
・異性にモテる
・仕事がうまくいく
・お金が貯まる
・人生が変わる

など、さまざまな点でうまくいくようになります。

相手を喜ばせ、自分にとってもうれしい結果が待っているいいことづくめの「気づかいのコツ」を学んで、「気がきく人」の仲間入りをしませんか。


習慣04

  • 気がきく人は、とにかく「聴く」
  • 気がきかない人は、とにかく「話す」

お客さまが何を望んでいるかを見抜く

 三越の理念には、「まごころの精神」というものがあります。

 私が三越で学んだのは、それをどうやって表現していくかというスキルでした。ひとくちに「まごころの精神」と言っても、デパートである三越にはさまざまな売り場があり、そこにいらっしゃるお客さまが望まれているものも異なります。

 食品売場では、スピードと活気こそがまごころの精神の表現となり、逆に特選売場では穏やかに距離を保つことがまごころの精神となります。距離を保つというのは、商品を選んでいるお客さまの時間を大切にして、邪魔をしないということです。

 笑顔でさり気なくお客さまを感じながら、店員を必要としているときだけ、静かに声をおかけする。同じ「まごころの精神」でも、人や場面によって求められるものは違うわけです。

 もちろん、三越にも基本的な接客用語はあります。

 「いらっしゃいませ」「大変お待たせいたしました」など、「接客10大用語」と呼ばれるものがあり、接遇マナーのマニュアルもあります。しかし、それらはあくまでも基本であって、どこに配属されるかで必要なスキルは変わってくるのです。

 接客で一番大切なのは、「お客さまの立場に立って考えること」です。

 「相手の立場に立て」とはよく言われる言葉ですが、お客さまの求めているものを、自分なりに勝手に解釈してしまっていることが多いものです。

 私は気づかいを「心を持って正しきことを行うこと」と定義づけています。

 「心」とは、思いやり、おもてなしの心のことです。「正しきこと」とは、「相手にとって」正しいことであって、「自分にとって」ではありません。

 接客10大用語を暗記し接遇マナーを覚えたとしても、慣れが生じてくると物事を自分なりにいいような形にしてしまいがちです。

 販売員はお相手をしようと一所懸命になっているつもりでも、お客さまはそっとしておいてほしいかもしれません。

 この気持ちの差を埋めるのは非常に難しいことです。黙っているお客さまが、本当は何を望んでいらっしゃるのかを見抜くのは至難の技だからです。しかし、あるお客さまとのやりとりから、私は見抜く術を見つけたのです。

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