叱り方が分からない上司、それってアリ?上司はツラいよ(2/2 ページ)

» 2014年07月24日 10時30分 公開
[田中淳子,Business Media 誠]
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“恐怖”ではなく“要望”で相手を動かす

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 叱り方が分からない、相手に指摘する勇気がない――そんな人におすすめしたいのが「Iメッセージ」(Iステートメント)と呼ばれる表現方法だ。「私は……」と“私”を主語にして伝える話法である。

 「そういうことをするな」「なぜそういうことをするのか?」という表現には、「(あなたは)そういうことをするな」「なぜ(あなたは)そういうことをするのか?」と必要以上に責めているようなニュアンスがにじみ出てしまう。これでは反感を買いやすい。

 これを「(私は)そういうことをしてほしくない」と「私」を主語にして言い換えてみよう。“私は”こう思う、“私は”こうしてほしい――このように「私」を主語にすることで、きっぱりと自分の言うべきことを伝えられるし、抵抗を覚える可能性も少なくなる。人の思いや願いというものは、そう簡単に否定できるものではないからだ。

 相手を叱る目的は「(ある言動が)悪いという自覚を促し、改善させること」だ。叱る相手に自分の要望を伝えることも忘れてはならない。「しないでほしい」という言い方には相手へのリクエスト(こうあってほしい)もさりげなく含められる。

 叱る前にまず「私は」を主語にするとどう表現できるか、頭の中で組み立ててみるとよい。冒頭の例であれば、次のような表現で相手に指摘するのがよいだろう。

上司C: 「毎日ヒマで、いかに眠らないようにするかが最大の課題です(笑)」と日報に書いてあったけど、日報は上司や先輩が業務報告として読むもの。報告にふさわしいことだけを“ビジネス文書”として書いてほしい。“眠くなる”など正式な文書に書いてほしくないし、そういうことは自分の中で解決するようにしてください」

 こう真顔でびしっと伝えればよい。ことさら怖い顔をしなくても、言葉が明快なら若手には伝わる。若手は、いつの時代も内心は自信がないもの。折れやすいと思われがちな若手でも「いいならいい、悪いなら悪いと言ってほしい」と思いがある。“バカヤロー”でも“スルー”でもなく、言うべきことは相手が受け取りやすい表現できっぱりと伝える――。これは上司や先輩の責任である。

著者プロフィール:田中淳子

田中淳子

 グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー。

 1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタル イクイップメントを経て、96年より現職。IT業界をはじめさまざまな業界の新入社員から管理職層まで延べ3万人以上の人材育成に携わり27年。2003年からは特に企業のOJT制度支援に注力している。日経BP社「日経ITプロフェッショナル」「日経SYSTEMS」「日経コンピュータ」「ITpro」などで、若手育成やコミュニケーションに関するコラムを約10年間連載。


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