そのセール品、本当に“買い”なのか――マッキンゼー流“衝動買い防止法”マッキンゼー流入社1年目 ロジカルシンキングの教科書(1/2 ページ)

耳に入ってきたニュースの裏を考えること、たまたま通りかかった店の前で購入前に考えること――深い思考(クリティカルシンキング)を鍛える場面は日常のいろんなところに潜んでいます。

» 2014年07月24日 13時48分 公開
[大嶋祥誉,Business Media 誠]
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連載「マッキンゼー流入社1年目 ロジカルシンキングの教科書」について

『マッキンゼー流入社1年目 ロジカルシンキングの教科書』

本連載は、大嶋祥誉著・ソフトバンククリエイティブ刊『マッキンゼー流入社1年目 ロジカルシンキングの教科書』から編集転載しています。

世界最強のコンサルティングファームと呼ばれるマッキンゼーの新入社員は、ロジカルシンキングを叩きこまれます。「直感」や「いい感じ」に頼らず、クリティカルに考え(深い洞察による自分の考えを持ち)、ロジカルに展開する(分かりやすく伝える)ことがなぜクリエイティブであるといえるのでしょうか。

本連載では、ロジカルに展開する前の段階――多くの人があまり掘り下げることなく当たり前のような答えを出してしまう「思考」を見直し、クリティカルに考える(考えを深くする)ための3つの基本姿勢と7つの習慣について掲載します。

このほかにも本書では、
・論理思考は難しくない! ロジシンの基礎講義
・ロジカルに展開する わかりやすく伝える方法
・クリティカルに発想する それ、いいね
・クリシン+ロジシンで独創的な飛躍をする
方法について例を交えながら説明しています。


クリティカルな思考を鍛える7つの習慣(その2)

 前回は日常生活のあらゆる場面で深く考える習慣をつけられるよう、「クリティカルな思考を鍛える7つの習慣」のうち2つを取り上げました。今回は続きの中から2つを取り上げます。

[習慣その3]ニュースの見出しから「別のこと」を考える

国が男女の出会いを支援!? 「少子化危機突破基金」設立を検討──

 2013年にこんなニュースが話題になりました。国のお金を使って、結婚、妊娠・出産、子育てのしやすい環境整備だけでなく結婚に向けた情報や機会の提供まで支援しようというのです。

 このニュースは各方面で「ついに少子化対策に国が本気になった」「税金で婚活を支援するのはおかしい」など、さまざまな議論を呼びました。

 「国が男女の出会いを支援」などと聞くと、いかにも情報番組で取り上げられそうな見出しですが、大事なのはニュースを「話題にする」ことだけでなく、そのニュースに対して、クリティカルな思考を働かせてみることです。

 「So What?(だから何?) Why So?(それはなぜ?)」と考えると、「国が男女の出会いを支援」という見出しだけでは分からないことが見えてきます。

 そもそも男女の出会いや結婚、出産などは個人の考え方や意識・価値観の問題であって、国が主体的に動くものではないですよね。それなのに、あえて「少子化危機突破基金」というものを設けて結婚に向けた情報や機会の提供まで支援しようとするのはなぜなのか。

 実は、2013年に国がまとめた『厚生労働白書─若者の意識を探る─』において、少子化以前の問題として、結婚や恋愛をしない若者が増えていることが改めて取り上げられたのです。

 結婚に関する意識では「恋人もしくは、異性の友達がいますか」という質問に対して男性の62.2%、女性の51.6%が「恋人も異性の友人もいない」と回答。

 同時に発表された「生涯未婚率(50歳になって一度も結婚していない人)」は男性で20.1%、女性で10.6%。つまり、このまま「恋人も異性の友人もいない」という若者の傾向が続くと、さらに生涯未婚率は上昇することが推測されます。

 ここで、さらに「So What?(だから何?)」と考えてください。生涯未婚率が高いということは国にどんな問題をもたらすのか。

 日本が戦後復興を進めていた1950年には生涯未婚率は男女とも1%程度でしたから、それだけ結婚する男女が多く、出生率も高く、人口構成割合に占める年少人口(0歳〜14歳)の割合も35.4%ありました。

 このとき年少人口だった、いわゆる「団塊の世代」が、その後の日本の高度経済成長の原動力の1つとなったわけです。

 それに対して2012年の人口構成に占める年少人口(0歳〜14歳)の割合は、わずか13.0%しかありません。ここからいえることは、今後、日本の生産年齢人口(15歳〜64歳)が著しく少なくなるということです。

 少子高齢化がこのままさらに進めば、年金、医療、介護などの社会保障システムや経済システムに与える影響はとても大きくなります。

 だからこそ(実効性の問題はありますが)国が男女の出会いや結婚、出産まで、予算を組んででも支援しようというニュースが流れてくるわけです。

 このように、日常耳にするニュースに対してもクリティカルに考えてみることで、その背景や意味合い、あるいは別の視点が見えてきます。

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