相手の「良いところ」を探す「気がきく人」の習慣(1/2 ページ)

人は、悪いところのほうが目につきやすいもの。しかし、視点を変えて相手の良いところを見つける習慣を付けると、チームが活性化します。人は、自分の存在が認められることで喜びを感じるのです。

» 2014年08月01日 11時00分 公開
[上田比呂志,Business Media 誠]
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連載「『気がきく人』の習慣」について

『「気がきく人」の習慣』

本連載は、上田比呂志氏著、アスコム刊『「気がきく人」の習慣』から一部を編集・転載しています。

東京・荒木町で大正時代に創業した料亭「橘家」で生まれ、幼いときからおもてなしのいろはを教わり、成人後は三越やフロリダのディズニーランドで気づかいの極意を学んだ著者による「気づかいのコツ」を紹介します。

気づかいができるようになると
・上司、先輩に可愛がられる
・人間関係がうまくいく
・異性にモテる
・仕事がうまくいく
・お金が貯まる
・人生が変わる

など、さまざまな点でうまくいくようになります。

相手を喜ばせ、自分にとってもうれしい結果が待っているいいことづくめの「気づかいのコツ」を学んで、「気がきく人」の仲間入りをしませんか。


習慣06

  • 気がきく人は、相手の良いところを探す
  • 気がきかない人は、相手の悪いところを探す

グアムを襲った悲劇

 グアム三越の職場では、チャモロ人、米国人、フィリピン人、そして日本人が働いていました。今で言うダイバーシティのお手本とも言える環境です。彼らは言葉も違い、考え方も異なります。

 それでも私は、「私たちは何によって給料をもらっているかを考えて、一緒にがんばっていかなければいけない」という話を繰り返し伝えました。これは「お客さまをもてなすことが、私たちの喜びなのだ」というメッセージでもありました。

(写真と本文は関係ありません)

 さらに、同時に進めたのが、従業員同士のコミュニケーションの量を増やす、ということです。スタッフ同士で2人1組のペアを組んでもらいました。グアムは海の国なので、スキューバダイビングのペアを表現する「バディ」と呼んでいました。1人はお客さまのお相手をして、もう1人は品物を包み、入金するといったサポートに回るなど、実作業を分担。

 つねに「サンキュー」と感謝の言葉をかけ合い、互いの良いところを見るように指導しました。

 そして、毎月スタッフの誕生パーティーを開き、その際、全員で誕生月のスタッフの良いところをカードに書き、プレゼントするようにしたのです。悪口を言っていた同士でも、改めて「良いところを書きなさい」と言われると、何があるかな? と違う視点から相手のことを見つめます。

 これは、ディズニーで学んだ「スピリット・アワード」(※)を作法とし、自分なりに磨き上げた手法でした。

(※)スピリット・アワード=キャスト同士が褒め合う仕組み。ディズニーでは、キャストがお互いを褒め合って、一番褒められた数が多い人が代表として表彰台に乗る。

 こうした施策の結果、少しずつスタッフ同士が交わす笑顔も増えていき、連携や仲間意識も高まっていったのです。すると、売上も徐々に上がっていきました。スタッフがお互いの言葉に耳をかたむけるようになったのを見て、彼女たちは気づかいができないのではなく、やり方を知らなかっただけなのだ、と気付きました。まず体験させ、心に感じさせ、その過程でロジックの説明をする必要があったのです。

 しかし、店が安定してきたところで思わぬ事態が起きます。超大型の台風がグアムを襲い、従業員の家も吹き飛ばされ、観光客は激減。店も営業できず、経営的にも追い込まれていったのです。

 スタッフの解雇も選択肢の1つとして浮上しましたが、私の理念に反することで、それだけはしたくありませんでした。スタッフのほとんどが現地採用ですから、被災した上に解雇されれば、生活が立ち行かなくなってしまいます。

 そこで、私は彼女たちに「ワークシェアリング」を提案しました。個々の働く時間を減らして、人件費を圧縮。その代わり、誰も解雇しないという施策です。いわゆる欧米人的な感覚からすれば、誰かのために自分が我慢するのは嫌だ、という意見が出てもおかしくありません。

 ところが、彼女たちはこの提案を笑顔で了承してくれたのです。これは私の想像を超える出来事でした。こちらの思っていた以上にスタッフ同士の関係は深まっていたのです。彼女たちの成長を見て、私はグアムに来てよかったと心から思いました。

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