ディズニーの強みは、ストーリーを共有して生まれる共鳴する心です。マニュアルにとらわれることなく、ゲストにハピネスを提供することを最優先とします。ゲストの笑顔を見て喜びを感じ働くことに誇りを持つ。金銭的な報酬とは別の、働く人への気づかいとなるのです。
本連載は、上田比呂志氏著、アスコム刊『「気がきく人」の習慣』から一部を編集・転載しています。
東京・荒木町で大正時代に創業した料亭「橘家」で生まれ、幼いときからおもてなしのいろはを教わり、成人後は三越やフロリダのディズニーランドで気づかいの極意を学んだ著者による「気づかいのコツ」を紹介します。
気づかいができるようになると
・上司、先輩に可愛がられる
・人間関係がうまくいく
・異性にモテる
・仕事がうまくいく
・お金が貯まる
・人生が変わる
など、さまざまな点でうまくいくようになります。
相手を喜ばせ、自分にとってもうれしい結果が待っているいいことづくめの「気づかいのコツ」を学んで、「気がきく人」の仲間入りをしませんか。
ディズニーのキャストは、いつもゲストを見つめています。それはキャストの一番の楽しみがゲストの笑顔だからです。ディズニーで働いているキャストは、ゲストの笑顔がそのまま自分の喜びとして感じられる人。OJT(企業内教育)によって、そういう教育を施していく。
ただし、それはマニュアルではありません。世間では「ディズニー=優れたマニュアル」ととらえられがちですが、本当の強みはストーリーを共有することで生まれる共鳴する心にあるのです。
例えば、ディズニーの有名な行動基準に「SCSE」というものがあります。
この4つのキーワードは、その並び順がそのまま優先順位となっています。
一見、いかにもマニュアル然としていますが、そこに込められているのはゲストに対する気づかいです。なぜなら、おもてなしの根底にあるのは心から安心できる環境であり、それを実現するために「SCSE」という行動基準があるわけです。
そして、このSCSEは、そのまま私たちの人間関係にも生かせるものです。
例えば、誰かを迎えるとき。安心して話のできる場所を指定することはSafety(安全)であり、相手を待たせることなく準備を整えておくことがCourtesy(礼儀正しさ)です。 そして、相手に心から楽しんでもらえる仕掛けを施すことはShow(ショー)であり、スムーズなオーガナイズで会合を仕切るのは、Efficiency(効率)となります。
ディズニーの清掃を担当するカストーディアルが、水で地面にミッキーを描くサプライズは、誰かが「やろう!」と言い出したものではありません。マニュアルに記載されたサービスでもありません。ゲストにハピネスを届けたいと考えた無名の誰かが始め、それが組織の中で共有されて、広まった。SCSEという行動基準に反しなければ、自分の知恵、気づかいで新しいことを始めてもかまわない――。そんな懐の深さも、ディズニーの魅力です。
そして、カストーディアルがミッキーを描くことでゲストが幸せを感じるなら、そのアイデアを広めていく。その結果、企業としてのもてなしも向上し、ゲストにさらなるハピネスを届けることができるのです。
このやり方は、あらゆる組織で活用することができます。
「お客様を喜ばせるあのサービスを考えたのは、自分です!」となれば、アルバイトであろうと契約社員であろうと、正社員だろうと関係なく、働くことに誇りを感じます。これは金銭的な報酬とは別の、働く人への気づかいとなるのです。
まとめ
相手を迎えるときは、ディズニーの「SCSE」の行動基準を実践する。
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