自分の企画がいいかどうかを判断する方法困っている人のための企画術(2/2 ページ)

» 2014年09月09日 11時00分 公開
[福里真一,Business Media 誠]
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広告が長く続くために

 私は、「広告というのは同じ表現で長続きしたほうがいい」と思っています。商品のほうが、そのCMよりも有名なうちは、あんまり広告というのは効果をあげないのではないか、と。

 「BOSSのCMといえばアレ」とか、「トヨタのCMといえばコレ」など、世の中のかなりの数の人が広告のことを覚えてくれてはじめて、広告が商品の手助けをできるようになるのではないかと思います。

 そうなるためには、ある程度同じ表現でシリーズの広告が続かないといけない。単発で数回オンエアしただけでは、世間は覚えてくれません。

 ところが、シリーズの広告というのは、つくり手が最初に飽きてしまうことが少なくありません。「飽きられる前に、もっと新しいことをやりましょう」と提案してしまう。もともと、自分からクリエイターと名乗るぐらい、新しいものを「創りたい」という人が集まっているので、どうしてもそうなるのでしょうけれども……。

 私は、広告が「水戸黄門」とか「笑っていいとも!」みたいに、多少マンネリでもおなじみの存在になることはすごくいいことだと思っていますので、「変えましょう」ではなく「続けましょう」と言い続ける、珍しいタイプの「ノンクリエイタータイプ」のクリエイターかもしれません。

ENEOS TVアニメ「エネゴリくんとソラゴリくん ダブル発電編」(出典:JX日鉱日石エネルギーのWebサイト

 私が企画しているCMでいうと、BOSS「宇宙人ジョーンズ」シリーズが9年目、ENEOS「エネゴリくん」シリーズが7年目、タウンページ「良純さんが行く」シリーズも7年続きました。いい悪いは意見が分かれると思いますが、けっこう長続きする広告をつくっているタイプだとは思います。

 企画が長続きするためには、やはり、その商品の「感じ」をぴったり表現したものを考えないといけないのです。

 そうでなければ、どんなにその広告が話題になったり広告賞をとったりしても、続かなかったり、どこかでなんか違うんじゃないか、となってしまう。

 そうならないためにも、最初のイメージと最後にできた企画が合っているかをすり合わせるというやり方は、かなり有効だと思います。

 →連載:「困っている人のための企画術」 記事一覧はこちら

著者プロフィール:

福里真一(ふくさと・しんいち)

ワンスカイ CMプランナー・コピーライター。1968年鎌倉生まれ。一橋大学社会学部卒業。92年電通入社。01年よりワンスカイ所属。

これまで1000本以上のテレビCMを企画・制作している。主な仕事に、吉本興業のタレント総出演で話題になったジョージア「明日があるさ」、樹木希林らの富士フイルム「フジカラーのお店」、トミー・リー・ジョーンズ主演によるサントリーBOSS「宇宙人ジョーンズ」、トヨタ自動車「こども店長」「ReBORN 信長と秀吉」「TOYOTOWN」、ENEOS「エネゴリくん」、ダイハツ「日本のどこかで」、東洋水産「マルちゃん正麺」などがある。

ACC(全日本CM放送連盟)グランプリ、TCC(東京コピーライターズクラブ)グランプリ、クリエイター・オブ・ザ・イヤー、など受賞。その暗い性格からは想像がつかない、親しみのわくCMを数多くつくりだしている。

著書に『電信柱の陰から見てるタイプの企画術』(宣伝会議)がある。


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