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» 2014年09月10日 11時00分 UPDATE

「考える」力をつくる30のルール:好きなものを集め、伝わるものだけ残せ

見ると、思わず行ってみたくなったり、それを買ってみたくなる――。多くの人を引きつける広告作品は、どのように作られるのか。今回は、人の心に伝わるメッセージのコツをお伝えします。

[長野真一,Business Media 誠]

集中連載「「考える」力をつくる30のルール」について

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本連載は、長野真一著、書籍『「考える」力をつくる30のルール』(アスコム)から一部抜粋、編集しています。

少子高齢化に年金制度の崩壊、いじめ、災害――。問題が山積みの現在の日本、私たちはこの困難の時代に生き延びなくてはなりません。

各界で活躍する一流の講師たちが、東北の未来を担う若者たちに「生きる力、考えるヒント」を授けるNHKのEテレ番組「東北発☆未来塾」。そのなかで、講師たちが語った珠玉のひと言が「ゴールデンルール」です。

 「コンセプトは机の上で考えるな。日常に落ちている」(箭内道彦)
 「人の意見をまずは肯定しよう」(山崎亮)
 「どこでも使える文言に、人をひきつける力はない」(星野佳路)

これからを生き抜くために、何を考え、何をすべきか。本書では、番組内で紹介した自ら未来を切り拓いてきた人たちの30ゴールデンルールをまとめました。アイデアを育て、人とつながり、困難に打ち勝つ――。そうした力をつけて生きるヒントをつかんでください。


人に伝わると思うものだけを残す

 見ると、思わず行ってみたくなる、買ってみたくなる。そんな魅力的なCMやポスター。多くの人を引きつける広告作品は、どのように作られるのか。

 その秘訣は、自分の感性にヒットする“好きなもの”を手当たり次第集めた後、“人に伝わる”と思えるものだけを残していくことだ。

 クリエイティブ・ディレクターの箭内道彦さんの指導の下、未来塾に参加した若者たちが、実際のCM作りにチャレンジした。

 テーマは「福島を知ってもらう」。

 原子力発電所の事故以来、風評被害に苦しむ福島県の悩みを伝えたい。あるいは知られていない福島の魅力を知ってほしい――。そんな思いを短い映像で表現するというものだ。

 ドラマ仕立てにするチーム、アニメを制作するチーム、ストレートに思いを伝えるチームなど、やり方はさまざまだ。

独りよがりな素材はどんどん捨てる

 どんな手法を用いようと、広告を作るために欠かせない作業がある。

 まずは、材料を集めること。

 広告したいものが何なのか、自分の中でふに落ちていなければよい宣伝などできない。広告したいものの本質は何か。それを伝えるために必要な人は、場所は、モノは、どこにあるのか。場合によっては、広告したいものの歴史的・文化的背景も深く知らねばならないだろう。それらを、なるべく幅広く取材し、集める。

ks_idea01.jpg (写真と本文は関係ありません)

 その際に大切なことは、とにかく「自分が好きなもの、気に入ったことをなるべくたくさん集める」ということだ。そうした材料集めの作業を、時間をかけて行えば行うほど、広告の内容は深く説得力のあるものになっていく。

 それらを集めたら、次は編集である。

 ポスターなら写真を選ぶ。映像ならカットをつなぐ。キャッチコピーなら短い文章にまとめる。この段階に入ると、大切なポイントはさっきと180度変わる。“迷ったら捨てろ”だ。箭内さんは「捨てないと前に進まない。捨てるときは思い切って捨てないと、退屈なものにしかならない」と言う。

 自分が苦労して集めた材料には思いがこもっている。好きなものを集めていればなおさらだ。ところが、その思いにこだわって捨てることができず、短い映像や文章の中にあれもこれも盛り込むと、結局何が言いたいのか分からないものになってしまう。

 大量に集めた素材の中から、自分が伝えたいコンセプトを練って絞り込んでいく中で、その方針に合わないものを捨てていく。

 このときに大切なのは、“自分が好きなもの”という基準で残すのではなく、“人に伝わるか”を重視して残していくことだ。

 そうして最後の最後に残った言葉や映像は、必ず人に伝わり、人の心を打つものになっているはずである。

著者プロフィール:

長野真一(ながの・しんいち)

1989年、NHK入局。初任は京都放送局。過去の主な担当番組「堂々日本史」「その時歴史が動いた」「英語でしゃべらナイト」「リトル・チャロシリーズ」「トラッドジャパン」など。

震災直後に、東日本大震災プロジェクトの専任となり、2年間被災地支援の番組やイベントなどを実施する。「東北発☆未来塾」や「復興支援ソング・花は咲く」のプロデュース、「きらり東北の秋」や「ただいま東北」のキャンペーンなどを担当。


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