先日、筆者が主催したセミナーの参加者から「社長の話が長くて、自分の仕事時間が奪われているのが問題」という相談を受けました。詳しく聞くと、会議で決定した議案などについて「本当のところどう思っているのか、何か不足していることはないか」と繰り返し尋ねられるそうです。
会社のために仕事をしている部下の時間を、社長自らが奪いたいと思っているはずはありません。部下が「何度も繰り返し念を押してくる」とか「話が長すぎる」と思っていても、社長にもまったく違う言い分があることでしょう。しかし、このような相談を受けることは決して珍しくはないのです。
「上司の話が長くて、自分の仕事に集中する時間がとれない」というのは、「電話の割り込みが多くて仕事にならない」と並んで、「チームでビジネス」というテーマで出題される超頻出問題です。
長話は、相手を不安にさせるから生まれるのです。筆者の場合で言えば「佐々木はちゃんと本を書く気があるのか?」と不安な編集さんほど、いろいろな点で念を押したがるものです。
そこで筆者は、打ち合わせ後なるべく早いタイミング(翌日くらいまでに)で、企画案をまとめてメールで送ります。それでも不安に思って電話をかけてくる相手もいます。その場合、タスクリストを見せて「あなたの仕事をやる時間を、毎週何曜日と何曜日に、25分ずつ取ります」といった情報を出します。
話の長い人には「この打ち合わせの後に、あなたの仕事に取りかかるタスクを入れます」と伝えると、話を打ち切れるのではないかと思うようになりました。要は仕事にコミットするということを明確にできるほどいいわけです。
心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。
著書に『なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?』『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』『クラウド時代のタスク管理の技術』などがある。
ブログ「ライフハック心理学」主宰。
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