スキャン速度は読取方法によって大きく変化する。有線での高速なスキャンをアピールしている製品でも、接続方式が無線の場合や、スマホから読み取る場合、余分に時間がかかってしまうのが普通だ。ここでは「PCで有線スキャン」「PCで無線スキャン」「iPhoneで無線スキャン」という3つの方式ごとに、読み取りに要する時間を比較してみよう。いずれも公称値ではなく、実測値によるものだ。
使用した原稿は両面5枚(=10ページ)、読み取り設定はカラー300dpi。PCでの読み取りについてはPDF形式で、保存完了後にAdobe Readerで開くまでの時間を測定。iPhoneでの読み取りについてはJPG形式で、カメラロールに保存が完了するまでの時間を測定している。
なお無線の接続方法はPCと1対1で接続するアドホックモードではなく、無線ルータからIPアドレスを割り当てられて既存LANに接続するモード(呼び名はメーカーにより異なる)に統一している。
「ScanSnap iX100」は、「PCで有線スキャン」=1分31秒、「PCで無線スキャン」=1分35秒、「iPhoneで無線スキャン」=1分41秒と、どの方式でもほとんど差がない。それゆえ、PCでスキャンしている場合は、いま有線でスキャンしているのか、それとも充電しながら無線でスキャンしているのか区別がつきにくいほどだ。非常に優秀といっていい。
「DS-40」は、「PCで有線スキャン」=3分05秒、「PCで無線スキャン」=3分32秒、「iPhoneで無線スキャン」=3分12秒と、読み取り方式にかかわらずやや遅めだ。手差しで1枚ずつ原稿をセットするのは「ScanSnap iX100」と変わらないが、こちらは1枚のスキャンに要する時間が長いため、かなり待たされる印象が強い。枚数の多いスキャンにはあまり向かない印象だ。
「MDS-820W」は、「PCで有線スキャン」=2分37秒、およびSDカードへの直接保存が3分43秒(保存されたデータをPCから確認するまでに要した時間)と、こちらもあまり高速とは言えない。
なお本製品の無線接続はあくまでもSDカード内のデータを閲覧するための機能で、無線LANで接続したPCやスマホ/タブレットから直接スキャンが行えるわけではない。「無線LAN対応」といっても、他社製品とはまったく意味が異なるので要注意だ。ちなみに無線接続はアドホックモード、つまりPCやスマホと1対1での接続となるため、その間はインターネットに接続できないなどの制限もある。
「DR-P208II」は、「PCで有線スキャン」=0分56秒、「PCで無線スキャン」=1分20秒、「iPhoneで無線スキャン」=2分34秒(無線接続時はオプションのWU10を使用)。今回試した中で唯一両面スキャンに対応するため、他社製品に比べて原稿を通過させる回数が半分で済み、それが唯一1分を切るスコアにつながっている。
iPhoneからのスキャンはかなりの時間がかかり、両面スキャンの優位性が失われているが、それでも原稿をまとめてセットできるので、他の製品に比べてストレスにならない。トータルでは優秀な部類に入ると言っていいだろう。
製品名 | PCで有線スキャン | PCで無線スキャン | iPhoneで無線スキャン |
---|---|---|---|
ScanSnap iX100 | 1分31秒 | 1分35秒 | 1分41秒 |
DS-40 | 3分05秒 | 3分32秒 | 3分12秒 |
MDS-820W | 2分37秒 | − | − |
DR-P208II | 0分56秒 | 1分20秒 | 2分34秒 |
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