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» 2014年10月08日 11時00分 UPDATE

「考える」力をつくる30のルール:成功体験にとらわれるな!

人は成功すると、それが正しいと思いがちだ。同じ状況ならそのやり方を続ければよいが、状況が変われば過去に成功したやり方では通じなくなることがある。周りをきちんと分析しながら、勇気をもって変えることが必要なのだ。

[長野真一,Business Media 誠]

集中連載「「考える」力をつくる30のルール」について

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本連載は、長野真一著、書籍『「考える」力をつくる30のルール』(アスコム)から一部抜粋、編集しています。

少子高齢化に年金制度の崩壊、いじめ、災害――。問題が山積みの現在の日本、私たちはこの困難の時代に生き延びなくてはなりません。

各界で活躍する一流の講師たちが、東北の未来を担う若者たちに「生きる力、考えるヒント」を授けるNHKのEテレ番組「東北発☆未来塾」。そのなかで、講師たちが語った珠玉のひと言が「ゴールデンルール」です。

 「コンセプトは机の上で考えるな。日常に落ちている」(箭内道彦)
 「人の意見をまずは肯定しよう」(山崎亮)
 「どこでも使える文言に、人をひきつける力はない」(星野佳路)

これからを生き抜くために、何を考え、何をすべきか。本書では、番組内で紹介した自ら未来を切り拓いてきた人たちの30ゴールデンルールをまとめました。アイデアを育て、人とつながり、困難に打ち勝つ――。そうした力をつけて生きるヒントをつかんでください。


成功体験がマイナスの弊害を生むことがある

 人は成功した体験を持っていると、「次もできるかもしれない。きっとできる」と信じられる。その信念が、強い推進力を生み出す。

 しかし、ときにはその成功体験がマイナスの弊害を生むこともある。成功体験にとらわれ、「こうすれば必ず成功する」と思い込み、状況の変化についていけなくなる場合だ。その意味では、成功は失敗のもとになる。

 状況が変わったときには、成功体験にとらわれず、適切な変更が必要になる。

 被災地で支援活動を続けてきた西條剛央さんは、状況の変化が激しい中での対応を何度も迫られた。とくに、成功した後にこそ、落とし穴が待っていたという。

 震災直後の2011年5月、家電プロジェクトがスタートした。冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなどの中古家電を集め、自宅で避難している人に届けるというプロジェクトだ。全国で使われているちょっと古くなった冷蔵庫などは、廃棄するにもお金がかかる。それなら有効に使ってもらったほうがいいというわけだ。

 石巻や気仙沼、陸前高田などの被災地に、2300点以上の家電を届け、大変喜ばれた。

状況が変われば、過去の成功例が通用しないことも

ks_fan.jpg (写真と本文は関係ありません)

 ところが夏になると、状況が変わった。節電が求められる夏、大量の扇風機が必要となった。中古家電で扇風機だけを何千台も集めるのは難しい。

 そこでネット販売の仕組みを使った。家電量販店から格安で扇風機を分けてもらい、ネットで支援を募る。2台セット、1口3000円。購入すると1台ずつ2つの家庭に届く仕組みにした。この新しい仕組みで、6000台の扇風機を被災地に届けることができた。

 さらに冬。暖房器具を送ろうとしたところ、新たな状況の変化に直面する。避難所が閉鎖され、被災者が仮設住宅や県外に移転、連絡先が分からなくなってしまったのだ。

 そこでマスメディアを使い。「罹災(りさい)証明書のコピーと希望の家電を書いて送れば、すぐに直送しますよ」という告知を、新聞やラジオなどの各メディアに掲載した。支援を必要とする人たちの方からアクセスしてもらうようにした。いわば公募制だ。

 このやり方には、「申し込みが殺到し、対応できなくなったらどうするのか?」「それまでに築いた被災者とのネットワークを利用して広げた方が確実ではないか」という反対の声もあがった。しかし、成功したやり方を踏襲すれば失敗する可能性は少ないが、満足な支援はできない。西條さんたちの結論は、リスクを恐れるより、できるだけ多くの人たちに家電製品を届けることだった。

 人は成功体験すると、それが正しい道だと思いがちだ。そしてそのやり方を捨てて新しい方法に変えるには勇気がいる。

 しかし、成功したやり方を継続してよいのは、同じ状況が続いているときだ。周囲の状況が変われば、過去に成功したやり方でも通じなくなることがある。

 そのときには、きちんと分析しながら、勇気をもって変えていくことが必要なのだ。

著者プロフィール:

長野真一(ながの・しんいち)

1989年、NHK入局。初任は京都放送局。過去の主な担当番組「堂々日本史」「その時歴史が動いた」「英語でしゃべらナイト」「リトル・チャロシリーズ」「トラッドジャパン」など。

震災直後に、東日本大震災プロジェクトの専任となり、2年間被災地支援の番組やイベントなどを実施する。「東北発☆未来塾」や「復興支援ソング・花は咲く」のプロデュース、「きらり東北の秋」や「ただいま東北」のキャンペーンなどを担当。


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