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» 2014年11月12日 11時22分 UPDATE

3分LifeHacking:スマートフォンで私たちが失ってしまった3つのスキル

いつも手元にあって、私たちを助けてくれるスマートフォン。しかし、それによって私たちが失ってしまった能力があり、いざというときに対応できなくなる恐れがあります。

[Thorin Klosowski(原文/訳:江藤千夏/ガリレオ),ライフハッカー[日本版]]
ライフハッカー[日本版]

 テクノロジーは大抵の場合、私たちの暮らしを便利にしてくれます。おかげで、一部の基本的なスキルを、もはや苦労して習得しなくても良くなりました。

 私たちにとって最も身近なテクノロジー機器にスマートフォンがあります。これを使うようになって、私たちの多くは「電話番号を暗記する」というスキルを失ってしまいました。この記事では、スマートフォンによって私たちが失ってしまった重要なスキルを取り戻す方法を紹介しましょう。

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ただし、「昔はこうだった」は禁止で

 「昔はこうだった」という論調では、ついつい「思い出補正」をかけてしまいがち。テクノロジーが私たちの暮らしを支配する前は、私たちはもっと幸せで、賢くて、生きる力を備えていた……などと主張する人がいますが、それは過去のことをバラ色のユートピアとして美化し過ぎかもしれません。

 とはいえ、私たちが時代とともに、人としての基本的なスキルのいくつかを失ってしまったのは事実です。それらのスキルを習得し直せば、少しはテクノロジー依存から抜け出せ、脳トレができ、世界と触れあう機会を得られるでしょう。そうしたスキルを再評価することは、それは機械文明の全否定につながるわけではありません。

 失ったスキルは、テクノロジーに特に依存している人であっても再習得できるほどですから、誰でも身につけ直せるでしょう。

1.電話番号の暗記

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 スマートフォンのバッテリーが切れた場合、誰かに電話をかけられるでしょうか? 身近な人のものであっても電話番号が1件も頭に入っていないというのは深刻な問題です。実際、以前私はスマートフォンのバッテリー切れと道に迷うということが同時に起きたとき、「誰かに電話して助けてもらう」という手が使えませんでした。携帯電話を使い始めて以来、誰かの電話番号を一切覚えなくなっていたのです。

 この問題の解決策は何でしょうか。再び電話番号を暗記するようにするだけです。とはいえ、電話をかける相手の番号すべてを覚えておく必要などありません。緊急事態に備えて、大切な相手の番号を覚えておくだけで良いのです。それは片手で数えられるほどでしょう。

 数字の暗記には、さまざまなテクニックが出回っています。私のオススメは、大事な番号をアドレス帳から削除してしまって、暗記するしかない状況を作り出す方法です。数字を文字に置き換えたり、歌にしたりするのも効果的。強制的な反復練習で暗記を助けてくれるアプリの力を借りても良いかもしれません。

 スマートフォンの音声入力機能を使っているのなら、相手の名前ではなく番号で発信してみましょう。公的な通報先のほかにも何件か、緊急連絡先の電話番号を暗記しておくべきです。いつ必要になるか分かりませんから。

2.道に迷わないようにする

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 曲がり角に差しかかるたび、音声や矢印アイコンなどで進行方向を表示する「ターンバイターン方式」のナビゲーションシステムは非常に便利です。

 しかし、これにに依存し過ぎるのは問題です。もしバッテリーが切れたら立ち往生してしまうことになりかねません。それ以外にも、突然データ通信がつながらなくなったり、地図アプリの操作を誤って、おかしな方向に誘導されることもあるでしょう。最悪のシナリオは、道に迷ったうえに、戻る道の見当すらつかない、というものです。これは車に乗る人だけの問題ではありません。街中でナビを使う人全員に起こりうることです。実際、徒歩や自転車に乗って街中にいる時のほうが、バッテリー切れが起こりやすいはずです。

 ちょうど良い私のエピソードがあります。シアトルへ引っ越したときのこと。いつもあちこちが工事中で、大通りでは交通渋滞が起こりがちという状態でした。そのため、どこかに出かける時はほぼいつもGPSを使っていました。

 ある日、ワシントン湖を1周する長距離サイクリングを思い立ったのですが、ちょうど順路の半分辺りで、それまで来たことのない地域に迷い込んだのに気づきました。家へ戻る道順の見当もつかないし、携帯はバッテリー切れ。とにかくガソリンスタンドを見つけて、市街地へ自転車で戻れる道を聞こうとしたのですが、うまくはいきませんでした。結局は直感を信じて、ひたすら湖沿いを走って家に帰り着きましたが、その程度で済んだのはラッキーでした。

私はこれでGPSをやめました

 紙の地図があれば役に立ったでしょうし、あらかじめ経路を記憶しておけば、かなりのトラブルを防げたはずです。地図アプリを使うにしても、もっとしっかり見て経路を覚えておけば、充分役に立ったでしょう。

 そもそも、それまでずっとGPSに頼り切っていたので、土地勘が全然身についていなかったのです。どのハイウェイがどこでつながっているかも、どの通りを行けば自宅まで戻れるかも知りませんでした。

 それに、方向感覚もまったくありませんでした。以前はコロラド州デンバーに住んでいたのですが、そこではどこにいても、「山並みのあるほうが西」だったので間違いようがありませんでした。でも、シアトルに越してからは、その手のランドマークを見つける努力をしていなかったのです。

 その日以来、GPSに頼るのをやめました。最近では、渋滞の確認はするけれど、それ以外ではターンバイターンのナビはオフにしています。方向の手がかりになるようなランドマークもいくつか見つけました(それでも分からなくなったら、衛星放送のアンテナは南を向いていることが多いはずなので、それを探します)。この街の地図も紙で手に入れました。

 クチコミサイトでレストランを探すときも、地図上に表示はせず、リスト機能だけ使います。目的地と自分との位置関係を、地図に頼り切らずに把握しておきたいからです。街の中を移動する時も、ナビの指示にただ従うのではなく、視線を上げてよく見回すようにしています。こうしたテクニックは、旅行で知らない街に行ったときにも有効です。まずホテルの目印になるものを覚えたら、街に出てGPSに頼らず探検してみるのです。これまで見過ごしていたものの多さに、きっと驚くことでしょう。

3.居合わせた人との会話

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 かつて私たちは、たまたま居合わせただけの人とも会話をしていました。でも今日では、そこにいるのが誰であれ、存在を無視するのは難しくありません。スマートフォンに目を落とすだけで良いのですから。

 ところが意外なことに、居合わせた人と話をするのには、さまざまなメリットがあるのです。近所の人と顔なじみになっておけば、健康に良い影響が出たり、通勤中の気分が良くなったり、視野が広がったりという効果が得られる可能性があります。

 スマートフォンのおかげで、今やいつでもポケットの中にエンタメを持ち歩いている状態。わざわざ顔を上げて隣の人に話しかけなくても、ゲームをしたりTwitterを見たり、溜まったメールを処理したりできるでしょう。

 もっとも、これは今に始まったことではありません。以前だって、バス停などでは新聞や本を読んで、なるべく人と話さずに済ませていた人は多かったのです。読書のほうが生産的な時間の過ごし方のように感じられるかもしれませんが、実はそうすることで、「他者とのコミュニケーション」という人間の基本的な欲求を押し殺しているのです。『ニューヨーク・タイムズ』紙はこの問題について、こんな風にまとめています。

無言のまま(ネットワークに)つながっている人々は、多くの人と接触して安らぎを得ています。ただし、相手との距離を慎重にはかりながら。テクノロジーを使えば、コントロール可能な距離を互いにキープできます。互いを充分に知ることはできませんが、近すぎず遠すぎず、ちょうど良い距離が好まれます。一種の「ゴルディロックス効果(訳注:物事が適正値の範囲内に収まる様子)」と言えそうです(中略)。
リアルな人間関係は濃密です。厄介で、多くのものを要求されるでしょう。私たちはテクノロジーを使って、それらを整理する習慣を身につけてしまいました。「会話」から「つながり」への移行も、そのあらわれです。でも、こうしたプロセスの中で、私たちは自身をごまかしてきたのです。しかも時がたつにつれ、それを気にしなくなり、(以前とは)違うということを忘れてしまいました。
オンラインのつながりで「ちびちび」やるのも、積もり積もれば、実際の会話で「がっつり」いくのと同じこと、と考えたい誘惑に駆られますが、やはり同じではありません。メールもTwitterもFacebookも、今や政治や経済、恋愛や友情の中で、確固たる地位を占めています。でも、それらにどんなに価値があろうとも、リアルでの会話の代わりにはなりません。

 現代の私たちは、基本的なコミュニケーションがあまりうまくありません。ソーシャルメディアでの接触と違って、顔を突きあわせての会話はゆっくり進みます。また、私たちはそうした会話を通じて、相手のことを知ると同時に、自分のことも学びます。私たちがそれをしないのは、時間をかけてやり取りから何かを学ぼうとしていないからなのです。

 そうした「人としての基本的なスキル」を取り戻すには、自分でルールを決める必要があります。通勤中はスマートフォンで時間をつぶすのではなく、誰か自分と話したそうにしている人がいないかどうか、見渡してみましょう。そこまでしなくても、せめて時々は顔を上げてみましょう。日中も、少し空き時間ができるたびに携帯を取り出すのはやめて、居合わせた人と実際に会話をするようにしましょう。

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