マッキンゼーの上司たちは、部下に任せるのが上手でした。分担を明確にし、期限とゴールイメージをきちんと説明し、それぞれのメンバーのやる気を引き出していきます。
上司の大切な仕事の1つは、自分が少し我慢をしてでも、部下に任せてみることです。
自分で処理したほうが速く終わって、クオリティーも高いに決まっている。それを分かった上で、あえて部下に任せてみる。
それも細かくあれもこれも指示するのではなく、部下のキャリアと能力に合わせて、自ら考え、力を発揮する余裕を与えるのです。
その際、「少し自分のアイデアも交ぜてみてよ」などと励ましたり、アイデアやヒントを与えたりできれば完璧です。これによって信頼関係も強まります。
最初は、かならずと言っていいほど時間は余計にかかりますし、仕事のクオリティーやレベルの管理にも時間をとられるでしょう。
しかし、この過程を経なければ、いつまでも本物の上司にはなれません。
同時に、配属された部下は成長力を失い、チーム全体のバリューを引き出すことができず、中長期的にはより時間がかかるようになって、上司としての自分の評価もマイナスになるのです。
優秀な組織にいる若い人ほど、本当はまだ表に出していない才能や特質、特徴、得意分野を持っています。与えられた課題に対して、80、90点を取ることもあるでしょう。それでも仕事として十分なことはたしかです。
しかし、彼らが100点を超えるような、正解を超越するようなバリューの発揮をしてこそ、次のステージに進むことができるのです。そのためには、あなた1人ではなくチームの成長が不可欠です。
思ってもみなかった、想像を超える力を引き出せるのが、本物の上司なのです。
「自分でやったほうが速い」という考えは、だれかの上司になった時点で捨ててしまおう。
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