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» 2014年12月25日 05時00分 UPDATE

CRMの基本:高級ブランド企業がCRM戦略でさらに「ブランド」を強化する

これまで顧客のほうから近づいてきてくれたラグジュアリーブランドもいまでは顧客の声に耳を傾か、優良顧客の囲い込みに一層力を入れ始めています。

[坂本雅志,Business Media 誠]

連載「CRMの基本」について

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本連載は、坂本雅志著、書籍『この1冊ですべてわかる CRMの基本』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。

GoogleやAmazonなどの有名企業が一番重視しているのがCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)です。

CRMは「企業と顧客の長期的かつ良好な関係を構築する手法・戦略」ですが、ここ数年でCRMを取り巻く環境は激変しています。

ポイントカードや会員プログラムだけでなく、Amazonのレコメンド機能やGoogleの行動ターゲティング広告、携帯電話会社の割引施策まで、その範囲は多岐にわたります。

直近の動向・トレンドを踏まえ、CRMの必須知識や導入のポイントを解説した1冊です。


ブランド戦略だけでは立ち行かない?

 いま勢いのある企業はCRM戦略を導入していますが、ルイ・ヴィトンやプラダ、シャネルといったラグジュアリーブランドにとってもCRM戦略は重要な要素を占めてきています。

 ラグジュアリーブランドで最も重要なのはブランド戦略ですが、それだけでは顧客の心を捉えて離さない状況を維持することがむずかしくなってきているからでしょう。

 もちろん、CRM的施策はこれまでも高級ブランド各社が実施していました。例えば、「カスタマーカード」への個人情報の記載により、顧客の属性と購入履歴を関連付ける取り組みが、脈々と行われています。少なくとも、顧客情報を取得しているブランド企業はそれなりに存在します。

 しかし、そのデータを有効に活用しているか否かといった点に関しては、取り組みが進んでいるとは言い切れない状況です。

顧客の維持・拡大にはCRM戦略が必要

 事例で説明しましょう。Aさんが、あるブランド「α」の表参道店で約2万円分の商品を購入し、別の日に新宿店で約5万円分の商品を購入。また別の日に、オンライン店で約3万円分の商品を購入しました。しかし、αの各店舗でカスタマーカードが記入されているので、Aさんは、それぞれ別の人格として捉えられていました。

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 このαというブランドでは、年間で10万円以上購入した顧客はVIPと認定し、さまざまな優遇措置をとっていますが、AさんはVIPの認定を受けておらず、一般顧客として扱われていました。

 こうした事態は、多くのブランド企業で起きています。あるべき姿としては、ブランド「α」としてAさんに向き合うことです。

 賢明なブランド企業の経営陣は、こうしたことの重要性に気付き、何らかの手を打とうとしています。もはや「ブランド信仰」だけでは、顧客を維持・拡大できなくなってきているからです。

 事実、高級ブランド各社に対して、広告代理店が年間のブランド戦略を方向付けるマーケティング展開の競合プレゼンを行う際には、かなり高い頻度で、CRM戦略もそのお題目になっています。

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