心配するより、まずは実行：「のび太」という生きかた

行動する前からいろいろと心配し過ぎて、自分で自分の手足を縛ってしまっては何もできません。ときには、先のことをあまり考えずに目の前のことに全力を尽くしてみるのもいいと思います。

[横山泰行，Business Media 誠]

連載：「のび太」という生きかた

　この連載は書籍『ポケット版「のび太」という生きかた』（アスコム）から抜粋、再編集したものです。

勉強も運動も苦手でぐうたらしてばかりののび太。でも、映画版で大活躍し、しずかちゃんと結婚し――、実は人生の成功者だったのです。そんなのび太から、無理せずに自分らしく生きて夢まで叶えてしまう方法を学んでみませんか？

本書では、のび太から学べる人生の成功法則を「のび太メソッド」と提唱し、全部で37つ紹介しています。

　・完璧をいきなり目指さない
　・かっこいい自分を想像する
　・直感で判断。とにかく動き出す
　・夢は叶うと信じ切る
　・自分より、まず他人の幸せを望む・「愛する存在」で心を強くする

など。

この「のび太メソッド」は、どんなダメな奴でも夢が叶う魔法の法則です。みなさんの人生にも役立つヒントがたくさん詰まった1冊です。

　私たちが何か大きなことを始めようとすると、次から次へとさまざまな心配が頭をかすめます。絶対の自信を持って最初から取り組めるようなことは、ごくまれなことでしょうから、仕方がないかもしれません。でも、そんな多くの心配のタネも、取り越し苦労といった場合が少なくありません。

　のび太はというと、迷わず行動に移してしまう部分もあります。以下で紹介します作品も、その一例です。

「四次元たてましブロック」

　ドラえもんとのび太は家の2階で、ふとんを丸めて叩き合う遊びをしていました。でも、大きな音が出てしまい、1階にいたママが激怒。
　そこで、ドラえもんはひみつ道具「四次元たてましブロック」を出して、2階建てを3階建てに建て増しし、3階で遊ぶことに。1階にいるママにはとがめられず、大成功です。
　やがてドラえもんに用事ができるのですが、勝手にブロックをいじらないようにのび太に注意してから出かけます。
　しかしのび太は、静かな勉強部屋を欲しがっていたしずちゃんに、空いた2階を貸してしまいます。スネ夫にはマンガを誰にも邪魔されずに読める部屋を、ジャイアンには歌える部屋を、階数を増やすことで用意しました。
　しかも、“マンション貸します”という広告を早速出して、商売を始めます。部屋を借りる人が家に訪れ、塀の前に広告が貼られたため、ママはのび太の計画に気付きます。怒鳴りながら階段を上がってきたママに驚いたのび太は、さらに上へ逃げようと、どんどんたてましブロックを継ぎ足します。こうして、すごい高層ビルになってしまいました。
　ママはいくら上っても続く階段に、途中でダウン。一方、のび太も下にしかないトイレを目指すも、途中で間に合わなくなり、おしっこをもらしてしまいました。

　『ドラえもん（27）（てんとう虫コミックス）』小学館　より

　のび太の家はそんなに大きくないので、2階で暴れると騒音が階下にストレートに響き、ママから大目玉をくらいます。そこで、騒音が気にならないように、「建て増しブロック」で家を3階にしてしまおうという安易さや、そこで調子に乗ってどんどん増やし、高層ビルのような家を作ってしまうのび太は、計画性が欠けているかもしれません。

（画像と本文は関係ありません）

　先を読んであらゆる状況を予測する、最悪のシナリオを見越して予防策を練っておく、成功へのプロセスを思い描く――。計画を立てるという意味で共通するこれらは、どれも仕事をする上で大切なことです。

　しかし、「ああしたら、こうなるかも」なんて心配し過ぎて自分で自分の手足を縛ってしまっては、何の行動も起こせません。そのままでは描いている夢は実現しないまま終わってしまいます。当たり前ですが、どんな夢も行動がなければ達成できません。計画は大事ですが、それはあくまで道具にすぎず、それだけでは夢は永久に達成されません。

　中には、計画ばかり立てたり、むしろそれが好きだったりで、行動力のない人も意外にいます。計画しながら否定的な予測ばかり出すも「じゃあ、どうすればいいの？」と聞かれたら何も答えられない評論家気取りの人もいます。

　ときには、のび太のように先のことをあまり考えないで今やっていることに全力を尽くしてみるのもいいと思います。

　失敗したらそのときにどうすれば考えればいいですし、問題点は行動しないと見つからないものです。それに、想定していた悪い予測もそう簡単には起きないものですよ。

のび太メソッド9

心配するよりも、まずは実行