「もの」に関わる仕事を知る新人・若手担当者のための総務の仕事術(2/3 ページ)

» 2015年01月19日 06時00分 公開
[企業実務]

固定資産を管理する

 固定資産は、長期にわたって保有され、企業の営業目的のために購入・使用される建物や土地などの有形の財産である「有形固定資産」と、営業権やソフトウエアのような無形の財産である「無形固定資産」からなります。

 税法により毎年の償却額が定められている固定資産は「償却資産」ともよばれています。以下、代表的な固定資産の管理ポイントをまとめました。

所有不動産の管理

 土地などの所有不動産については、購入時の重要事項説明書・地積測量図・契約書(写し)・登記簿謄本等をまとめてファイルした「不動産管理簿」を作成します。

 重要事項説明書は、不動産の取引に際し仲介する不動産会社が買主に必ず説明しなければならない事項が記されたものです。購入不動産に関する基本的な情報が網羅されています。

 地積測量図は、土地の形状とともに隣地との境界や境界杭の位置が明示されています。契約書では売買に関する基本事項と購入額などが、登記簿謄本では所有履歴や抵当権などの権利関係が分かります。

 これらはバラバラではなく、常に管理簿と一体でファイルしておく必要があります。

償却資産の管理

 償却資産とは、建物、機械、道具や備品、車両など、減価償却の対象となる固定資産をいいます。

 償却資産は、購入時には資産に計上し、税法で定められた法定償却率に基づく償却額を費用として計上するしくみのため、ほとんどの会社では経理が減価償却資産一覧表で管理しています。

 ところが、すでに廃棄された固定資産がいつまでも計上されていたり、PCなど同じ仕様の機器が複数台あると、減価償却資産一覧表のどの機器なのかが特定できなかったりして、実質的な管理不能におちいりがちです。

 償却資産については購入時には代金の支払いが発生することから、経理で履歴を把握できます。しかし、廃棄時には現場から経理に連絡がないことが多いために、こうしたことが起こるのです。

 償却資産に対しては固定資産税(地方税)が課税されますから、廃棄などの管理をきちんとしていないと余分な税金を支払うことにもなります。

 また、使用期間が1年未満のものや取得額が10万円未満の少額減価償却資産は、例外的に取得価額相当額をその年の必要経費とすることができるため、減価償却の対象外とされています。

 さらに、会社にはリース資産もありますが、これらは減価償却資産一覧表からは省かれています。リース資産は、リース会社から一定の条件で貸与を受けているものだからです。

 こうしたことから、経理が作成する減価償却資産一覧表だけで、会社が保有したり使用している固定資産のすべてを管理することは事実上不可能であることがお分かりいただけると思います。

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