――: セクハラなどもありましたか?
川本さん: 今思い返せば、ハラスメントのデパートのような方でしたね(笑)。職場では覚えのないことで怒鳴りつけられて、「お前は本当に使えない」「オレが面倒を見てやらなきゃ会社に居場所はないぞ」というようなことを毎日言われていました。
お酒の席では、取引先と飲んでいる最中でも私のことをバンバン叩くんです。それはもう、先方が引くくらいに。接待の後にも強引に連れ回そうとしてくるし……。あと、酔っ払うと支離滅裂なメールを送ってくるんです。「オレじゃなくて他のヤツの言うことを聞いてたらぶっ殺す」とか。
――: ホントですか!?
川本さん: さすがに手を出され始めてからは「これは絶対におかしい……」と思って、コンプラに相談し始めて。最後の方は、毎晩のようにメールが来てました。理不尽に責められ続けると「私がダメだから、こんな状況になってるのかな……」っていう精神状態になっちゃうんですよね。相手に原因を求めても見つからないから(笑)。すごくつらかったけど、会社は辞めたくなかった。負けたくなかったんです。
――: コンプラに相談してからは、すぐに事は運んだのでしょうか?
川本さん: すぐに対応してもらえたわけではありません。向こうが逆ギレするタイプだから、こちらが派手に動いて逆恨みされるのが怖くて慎重に話し合いを重ねました。最終的には他の部の上長などにも協力をお願いして、大規模な人事異動のタイミングで去ってもらえました。
――: 穏便に異動してもらえてよかったですね! 今の上司はどんな人ですか?
川本さん: 新しく来た課長は40代半ばの男性。高卒入社で現場からの叩き上げタイプという感じ。口癖は「あーめんどくせー」です(笑)
――: またアクの強い方が……!(笑)
川本さん: 上から仕事を振られたり、取引先から電話やメールが来たりするたびに「あーめんどくせー」と。1日100回くらいは言ってるんじゃないかな。私、入社してからずっと「職場で“めんどくさい”は禁句だ」と思ってやってきたので、あれだけ乱用されるとなんかもうカルチャーショックですよ(笑)。まあ、悪気はないんでしょうね。あと、出世する気もないんだろうと。
――: そうですね……。みんなが口に出さないようにしていることをはっきり言うところは、逆にすがすがしささえ感じますね。
川本さん: 初めは「どうしてこんなこと言うんだろう?」って真剣に悩んだんですが……気付いたんです、悩んでもこっちがすり減るだけだって(笑)。だから最近は「めんどくせー」って言われたら、「たーいへーん、でもお仕事ですからねー」って返してます。
――: なんかもう、小さな子供と話すようなやり取りですね(笑)。
川本さん: 自分が使わないようにしているネガティブな言葉を頻繁に耳にすると、それに引きずられて自分まで落ちこんじゃうんですよね。お願いだから巻き込まないでほしい……。
――: 人が変わっても、依然、問題はなくならないと……。
川本さん: それでも前に比べれば、何事も幸せに感じてるんです(笑)。これからも“未知の生き物”と接するような気持ちで、今の上司と向き合っていこうと思ってます。
次回、登場するのはメーカ勤務4年の土橋さん。いったいどんな上司が登場するのか……。お楽しみに。
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