―― 「仕事をやろうとしない」というのは、どういうことなんでしょうか?
入江さん 新しい仕事を上から振られたときに「あ、オレ分かんないから無理です」って平気で言うんです。このセリフを聞いた時は「この人、何しに会社来てんのかな?」って本気で思いましたね。当然すべての仕事を拒否できるはずもないので、そういう仕事も渋々と引き受けるんですが、やることはほとんど下の僕らに丸投げなんですよ。
―― 下に付く身からすると、それは厄介ですね。
入江さん 以前、2時間ほどある映像を見て使用に問題がないかどうかチェックする仕事をその人とやったんです。「オレ、この映像のことよく分からないから」ってことで声かけられて、一緒にチェックすることになったんですけど……スタートから3分くらいで、もう、寝てるんですよ……。以来、その上司を信用することはできなくなりましたね。
―― 上司としてダメいうより、もう社会人としてダメな気が……(笑)
入江さん あと、うちの部署って外部とのやり取りが多くて、よく取引先との飲み会があるんですね。その上司、仕事はしないくせに飲み会にはほぼ参加する人なんですけど、そこでも決定的にムカついた出来事があって。
―― どんな出来事ですか?
入江さん すっごく忙しい時期に、その上司が先に取引先との飲み会のために早抜けしたことがあるんですね。その時、うちの課には3人しかいなかったんですけど、上司は「僕達はその仕事分からないから君に任せるわ。終わったら飲み会に合流しなさい」って、もう1人の社員も連れて先に出ていっちゃったんです。当然僕は残業をして、本来なら3人でやる仕事を1人で泣きそうになりながら処理していて。
―― それはつらい……。
入江さん 「こんな量の仕事、今日中に終わるわけがない……」って途方に暮れていると、その上司から着信がきたんです。電話で「まだ来れないの?」と聞かれたので、「申しわけないです、まだ仕事が終わらなくて……」と謝ると、上司は「先方に君の分までお金出してもらっているんだから、もったいないだろ。早く終わらせてこっちに来なさい」って言うんですよ。
―― えっ、もったいない? クライアントに対して失礼とかじゃなくて、そこですか?(笑)
入江さん 僕も聞いた時は冗談かと思ったんですが、どうやら本気で言っていたみたいで。そのワケの分からなさに「会社を出られないのはお前が仕事を置いていったからだろ……!」という怒りも合わさって……もういても立ってもいられませんでしたね、あの時は。
―― おつかれさまでした……。そんなに身勝手でも、周りから評価は高いままなんでしょうか?
入江さん そうなんですよ。こういう愚痴をちょっとこぼしても「いや、あの人はすごい人だから、多少はしょうがない」って、上の人達は言うんです。確かに、昔はすごかったのかもしれないですが、現状、売り上げにまったく貢献していない人をなんでそこまで立てなきゃいけないのか、僕には理解しがたいです。
── 今の上司の方に変わって、ホントによかったですね……。
入江さん ホントに救われたなと思っています。ただ、前の上司も部署を異動しただけで、偉そうな立場にいることは変わりないので……。そこでまた同じことが繰り返されて、他の若い人が泣いているかと思うと……いっそのこと転職でもしてほしいと思っちゃいます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.