「情報」に関わる仕事を知る新人・若手担当者のための総務の仕事術(2/2 ページ)

» 2015年03月04日 05時00分 公開
[企業実務]
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生産性が向上する情報管理

 会社内で日常的に行われている事務仕事は、それ自体では何の価値も生み出しません。生むのは「事務コストのみ」です。したがって、総務が取り組むべき情報管理システムは、事務仕事の生産性の向上が目的のひとつになります。

 前述したような問題がある会社では、まず情報管理システムの導入目的を明確にするところから始める必要があります。長年にわたる個人的な情報保管によりブラックボックス化している仕事や情報を「目に見える」ようにし、管理の俎上にのせなければいけません。そのうえで、以下の3つを徹底するようにします。

  • 文書・データの私物化をさせない
  • 文書・データの共有化を図る
  • 社内や書庫・PC内に氾濫している不要な文書・データを廃棄させるシステムをつくる

 こうした情報管理システムを導入するには、次のような目標を設定して取り組む必要があります。

  1. 自社の文書・データ整理上の問題点を洗い出し、解決する
  2. 会社として必要な情報を確保し、共有化(データベースの構築)を図る
  3. 確保した情報は、担当者はもちろん他の社員や管理職であっても、必要な時に、必要な情報を取り出せるように、文書・データの共有化(他者による検索性の確保)を図る
  4. オフィスには常に利用頻度の高い文書・データを保管し、利用頻度の低い文書・データは整理・廃棄することにより、必要な文書・データを60秒以内に取り出せる(即時検索ができる)ようにする

レコードマネジメント

 紙媒体の文書を管理するファイリングシステムは、「会社として必要な文書を、会社の共有物として、各社員が必要に応じて利用できるように組織的に整理・保管し、廃棄に至る一連の流れを維持するしくみ」でした。

 このシステムをさらに広げ、どのようなこと(データ)を記録・保存しなければならないかを、責任体制まで含めて規定したのが「レコードマネジメント」です。

 つまり、会社にある一切の記録の作成から廃棄までの組織化・能率化を意味しています。

 ファイリングの基本である整理・保存・廃棄という一連の流れから一歩進め、書類を作成する段階から、作成した書類の保管方法を考え、さらには廃棄するまでをフォローできるように発展させているのです。

 「ISO9000」と「ISO14000」においては、記録し、保存する基準を決め、この基準に定めた文書を作成するようになりました。このような流れのなかで、レコードマネジメントに関する国際規格である「ISO15489」(日本版JIS X 0902)が制定されました。

 この規格は、顧客情報の漏洩などに関するコンプライアンス(法令遵守)や、CSR(企業の社会的責任)に欠かせないアカウンタビリティ(説明責任)のためにも、文書やデータの記録・管理を考えることが重要ととらえ、その指針を示しています。

 電子データやメール等でのやりとりが増えている現状では、単に文書の整理・保管から廃棄までを管理するファイリングシステムから、記録の作成から廃棄までを管理するレコードマネジメントへと視野を広げ、情報管理を進化させる必要があります。

著者プロフィール:森口ひろみ

株式会社 ファースト・アシスト代表取締役。社団法人日本産業カウンセラー協会 産業カウンセラー。1969年4月大西公認会計士事務所創立とともに入所。1971年より同事務所発展による事業拡大により総務職に就く。総務主任、総務課長、総務部長を経て、1989年10月株式会社第一会計設立とともに取締役総務部長に就任。2002年4月株式会社ファースト・アシスト代表取締役に就任。現在は総務職としての経験を生かし、クライアント企業の中期経営計画の策定、間接部門の確立・コンピテンシー人事制度の導入などを中心としたコンサルタント活動のかたわら、講演活動や女性経営者としてさまざまな異業種交流団体での活動を行っている。


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