チームを理解するための前提として、仕事のコンテンツ(What)だけでなく、プロセス(How)、特にヒューマンプロセスに意識を向ける、というものがあります。
「プロジェクトは成功したし、自分も一定の成果を上げたけど、チームとして仕事した感じがない。何かが物足りないんだよね……」
というような経験をしたことがある人はいませんか? 仕事の充足感というのは、その結果だけではなく、プロセスにも影響されます。例えば、効率的な分業を進めすぎて、自分が貢献した感じ(あるいは主体性)が薄くなってしまったとなれば、やらされ感が増し、充足感が減ってしまいます。人の心に目を向けなければ、最強のチームは作れません。
仕事の「コンテンツ(What)」とは、その言葉通り、グループ内の会話の内容や課題、仕事の内容を指します。いわゆる打ち合わせの際に出てくるような表だった部分です。
一方の「ヒューマンプロセス(How)」は、仕事において目が届きにくい部分、つまり人の内面や関係性がどうなっているかという状態を差します。仕事の仕方や組織の雰囲気、メンバーそれぞれが、どのような気持ちで仕事にあたっているか、どれだけ参加している実感があるか、どのようなコミュニケーションをとっているか、目標設定や共有、時間管理、リーダーシップの形などが挙げられます。
この両者がかみ合うことで、チームメンバーは生き生きと、そして主体性を持って働くことができるようになります。しかし、ヒューマンプロセスは目に見えないものです。大事だと分かっていても、普段から意識して仕事をするのは難しいかもしれません。チームメンバーのヒューマンプロセスの傾向を知るためには、メンバー同士で“ゲーム”を行うのがよい手です。ここでは、2つのゲームを紹介します。
まずは「タワービルディング」というゲームです。紙と画用紙、文房具を使って、制限時間内に自立できるタワーを作ります。ポイントは、タワーを作成する前に“作戦会議”の時間を取ること。これにより、そのため、作成過程だけでなく、作成前の話し合いも含めて、メンバー間でどのようなコミュニケーションが起こっているか観察できます。
私も体験してみましたが、ゲームの最後にメンバーから、自分の働きかけが相手やグル―プ全体にどのような影響を与えたかというフィードバックをもらえたことがとても有益でした。
もう1つ、TEDカンファレンスで取り上げられた「マシュマロチャレンジ」というゲームもあります。こちらはマシュマロとパスタを使って自立するタワーを建てます。これはプロトタイプ作りやファシリテーション、そして共有体験と共通言語が築かれるところがポイントです。
これらのゲームは、いずれもチームで作業を行うワークショップのアイスブレークでよく使われるものです。チームの結成時に行えば、その後のコミュニケーションがスムーズになるでしょう。
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