「事業計画をつくれ」と社長に言われたら頼られる人になる「経理アタマ」の鍛えかた(2/2 ページ)

» 2015年03月10日 05時00分 公開
[企業実務]
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意図が変わればやり方も変える

 さて、しばらくは銀行借入のための事業計画ができていれば満足していた社長も、会社が発展していくにつれ、「自分の考えにうまくあてはまった事業計画をつくってほしい」という要望をもつようになります。

 そういう意図を感じたときは、いままでとは違うつくり方をする必要があります。

 これまで述べてきた、直近の数字をもとに将来を想像する方法は、いわば現在から未来を考える方法です。社長の考えにうまくあてはまった事業計画をつくる場合は、逆の思考を行います。将来のあるべき姿(理想のゴール)を最初に決めて、それを達成するためには、1年後はどうなっていないといけないか、3年後はどうなっているべきなのかと、未来から現在を考えていくのです。

 この方法のよいところは、現状に足を引っ張られずに未来の会社のあるべき姿を想像できることですが、作成をするのは大変です。私もこうした事業計画を作成するときには、社長に半日〜1日は時間を必ずとってもらい、集中して一緒に作業を進めます。

ダメ出しは厳禁

 一緒に事業計画を作成していると、社長は会社の未来の姿を想像してワクワクしてくるようなので、私はこうした事業計画を「ワクワク系事業計画」と勝手に呼んでいます。

 ワクワク系事業計画のよいところは、社長が数字にコミットしている点です。経理と一緒になって事業計画の作成をしているので、でき上がった数字に納得感があり、社長の腹に落ちているのです。

 このような事業計画を作成したときには、作成後の実績値と計画値にズレがないか毎月確認をして、社長に逐次報告をするようにしましょう。社長もズレに興味を示してくれると思います。

 ワクワク系事業計画を作成する際に、経理担当者が絶対にしてはいけないのは、社長へのダメ出しです。

 「こんな売上アップはむりです」などと言って、社長の想像の翼を折らないようにしましょう。経理担当者に求められているのはダメ出しではなく、社長の構想を数字に落とし込むことです。いったんダメ出しをしたら二度と事業計画づくりに声がかかることはないかもしれません。

 ムチャ振りする社長はいずれ成長します。社長の成長に合わせて柔軟に仕事に取りかかる――そんな経理を目指しましょう。

著者プロフィール:佐藤昭一

税理士。税理士事務所勤務、リサイクルショップ経営等を経て2006年佐藤税理士事務所を設立。ITを駆使した生産性向上支援、経理業務効率化等支援が得意。2010年にはAll Aboutプロファイルで人気No.1税理士に。


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