Review:ARM搭載で処理能力が向上した「BA512R」
NTT-MEのブロードバンドルータがモデルチェンジし,新製品「BA512R」が7月14日に発売された。旧モデルと見た目は同じながら,ハード面もソフト面も拡張されている。今回は,旧モデルとの違いに触れながら,この新モデルをレポートしてみたい。
まず,BA512Rは,旧モデルの「BA512」より処理スループットが向上した。WAN側ポートが10Mbpsである点は,BA512RでもBA512でも変わらないのだが,インタフェースが10Mbpsだからといって,実際の処理スループットも10Mbpsと単純にはならないことに注意したい。ルータの内部では,CPUがプログラム(フラッシュROMに書き込まれており“ファームウェア”と呼ばれる)に従って,パケットを処理していくため,パケットの処理能力は,搭載されているCPUのパワーによるところとなる。BA512Rの内部を確認したところ,PDAなどにも使用されているARM系の組み込み用CPUが搭載されており,CPUパワーが旧モデルより向上した。NTT-MEが発表している処理スループットの値では,旧モデルが約1.8Mbpsであるのに対し,新モデルでは約4Mbpsと,だいぶ上昇している。 さらに,ファームウェアにも改良が加えられ,機能も強化された。とくに,ファイアウォールのための機能である「パケットフィルタリング」機能が本格的なものに変わった。通信の方向(WAN→LANかLAN→WANか),プロトコルの種類(TCPかUDPかすべてか),送信元・宛先それぞれのIPアドレスとポート番号(いずれも範囲指定可能)を設定することができる。もっとも,一般ユーザーにとってはパケットフィルタリングを正しく設定するのは難しい。そこで,ファイル共有に関するフィルタを「おすすめフィルタ」として,簡単に設定できるようにもなっている(画面1)。
また,BA512Rは,旧モデル同様,複数IPアドレスの接続サービスに対応する。最近は,専用線の代わりにブロードバンド回線を用いた法人向けインターネット接続サービスも多く登場してきている。このようなサービスでは,IPアドレスが1つだけ割り当てられる個人向けの接続サービスとは異なり,IPアドレスが8,あるいは16個分のサブネットが割り当てられる。ところが,現在発売されている多くのブロードバンドルータは,このようなネットワーク型の接続サービスには対応していない。 そこで,BA512Rは「LAN接続型PPPoEクライアント」機能を搭載し,複数IPアドレスを割り当てるADSLサービスに対応した(画面2)。NTT-MEによる「エンタープライズADSL」やNTTPCコミュニケーションズの「Biz ADSL8」,KDDI「DION Business-DSL」での動作が確認されている。グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスを1対1に対応させる「マルチNAT」機能や,ルータのLAN側にグローバルIPアドレスをもつホストを設置できる「NAT&スルー」機能により,LAN側の各種サーバにそれぞれ異なるグローバルIPアドレスを割り当てて,インターネットに公開することも可能だ。さらに,「セッションキープアライブ」機能は,なんらかの理由でPPPoEセッションが切断されてしまった際に自動的に再接続してくれるもので,サーバ運用中にいきなり回線が切断されたまま放置されるといったトラブルを回避する。
設定は,Webブラウザを使用する標準的なものだ(画面3)。通常のPPPoEの設定では,5組の設定を保持できるため,「フレッツ・ADSL」でISPを切り替えたり,「フレッツスクエア」で速度測定をしたりするときに便利である。WAN側IPアドレスをDHCPで取得する場合は,ホスト名・ドメイン名の設定や「MACアドレスの変更」機能が利用でき,CATVインターネットでも利用しやすい。 このように基本機能も充実しており,一般ユーザにもお勧めできるブロードバンドルータだといえる。
関連記事 関連リンク [吉川敦,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
FEED BACK |