“PC房”激戦区を歩く

韓国式のインターネットカフェといえば,「PC房」(ぴーしーばん)。ソウル市内のいたる所に存在し,その多くは24時間営業,そして常に利用者が絶えない。しかし,ブロードバンドインフラが各家庭に浸透している韓国にあって,何故わざわざインターネットのために外出しなければならないのだろうか? その理由を探るべく,PC房激戦区「外大前」を訊ねた。

【国内記事】 2001年8月10日更新

 外大前駅は,その名の通り韓国外国語大学のお膝元だ。ほかにも看護大学があり,学生街として知られている。駅を出ると,大通りに沿ってごく普通の繁華街が広がっていた。看板の文字がハングルになっただけで,日本のそれと大差ない光景だ。ただ,決定的に違う点が1つある。数メートルごとに「PC房」「PC房」「PC房」……。とにかくインターネットカフェが多いのだ。

PC〜と読めるのがPC房。多くはビルの2階以上にある

 そのうちの一軒にお邪魔した。話を聞かせてもらった店長によると,この地区には20を超えるPC房があるという。そのぶん競争も激しく,この数カ月間で既に2〜3店が撤退。逆に繁盛している店は,月間800万ウォン以上の純利益を上げるという。「勝敗を左右するのは経営努力だ。お客が多い店は,高速な回線と流行のアプリケーションをそろえている。しかし,それ以上に重要なのが立地条件。駅前など,場所に恵まれたところが強い」(店長)。この店の場合は,大学に近く,スルーネットの専用線を導入して回線速度も平均以上と,条件はまずまず。お客の多くは学生で,月間300万ウォン程度の純利益がある。

オンラインゲーム「ポトリス」に夢中なのが,この店の店長。仕事は?

インターネット放送は女性に人気?

 比較的明るい店内は50平米ほどの広さで,30台のPCが並んでいた。いずれもビデオチャットに使うCCDカメラを備えている点が日本のインターネットカフェと異なるところだ。1台のPCの前で,ヘッドセットを付けた男性が画面に向けてひたすら話している。画面をみると,相手は9人の男女。DJ形式のパーソナルなインターネット放送だ。

インターネット放送。DJの男性がしゃべりまくる

視聴者の半数以上が女性。やらせではありません

 案内してくれたKim Yeon Hwanさんによると「最近は,映像なしでチャットをする人はいない」という。しかし,それに伴って成人向けのインターネット放送や出会い系コンテンツが横行し,未成年がPC房に出入りすること自体が問題視されるようになった。その結果,韓国では,昨年始めから住民番号による年齢確認が義務付けられている。

人気の秘密は料金とコミュニケーション

 この店に週1〜2回は来るというKimさんは,別記事にあるように自宅にもCATVインターネットの回線を持っている。にもかかわらずPC房に行く理由は,仲間とのコミュニケーションを求めているからだ。「ゲームは,自宅よりもPC房のほうがいい。仲間と一緒にやるほうが面白いし,技術も向上する」(Kim氏)。離れた場所にいる相手と対戦できるのがメリットだったはずのオンラインゲームが,逆に人をPC房に集める役割を果たしているわけだ。

 また,PC房の料金が1時間あたり1000ウォン(日本円で100円を少し下回る)程度と安いのも大きな魅力だ。店内では飲み物が無料ということもあり,長居するお客が多い。一部の店舗にはマンガ雑誌なども置かれ,日本のマンガ喫茶に近い形態を持つ場合もあるという。「マニアの中には,PC房に24時間以上いる人も多い。また,3カ月ほどPC房に“住んでいた”人の記事が雑誌に掲載されたこともある」(Kim氏)。さすがにPC房に住んでみたい人はいないだろうが,低料金&高速回線のインターネットカフェは,アプリケーション次第で日本でも十分に需要が見込めるように感じた。

[芹澤隆徳,ITmedia]

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