800円をめぐる駆け引き〜Bフレッツ「ニューファミリータイプ」

ニューファミリータイプの発表により,回線速度は東京電力のFTTHと変わらなくなった。しかし,料金は従来よりも800円高い5800円。この800円をめぐり,微妙な駆け引きがあるようだ。

【国内記事】 2002年4月11日更新

 NTT東日本は4月11日,光接続サービス「Bフレッツ」にファミリータイプに代わるサービスメニュー「ニューファミリータイプ」を追加すると発表した。月額料金は5800円で, 5月1日より事前申し込みの受付を開始する。

 ニューファミリータイプは,100Mbpsのアクセスラインを最大32ユーザーで共有するシェアードアクセスタイプだ。ファミリータイプのPON型を引き継ぎ,最大速度を10Mbpsから100Mbpsに高速化したものとなる。

 NTTは100MbpsのFTTHサービスにBPON(Broadband Passive Optical Network)の採用を検討しており,スカイパーフェクト・コミュニケーションズと共同で映像配信実験を行う計画もある(2月25日の記事を参照)。ただし,NTT東日本によると,ニューファミリータイプでは,BPONのほかにも複数の方式を検討しているという。詳細は明らかにされていないものの,今回はDBA(Dynamic Bandwidth Assignment)や帯域の優先制御といったBPONの機能が盛り込まれていないことは確かだ。

 当初のサービスエリアは,東京都千代田区,港区,新宿区,文京区,墨田区,江東区,目黒区,大田区,世田谷区,渋谷区,中野区,杉並区,豊島区,荒川区,板橋区,練馬区,葛飾区,江戸川区,武蔵野市,三鷹市,府中市,狛江市の各一部。6月1日に提供を開始する。

 なお,従来のファミリータイプのエリア拡大は今後行わず,現行エリア内で「設備に余裕のある場合」(同社)導入できるという。サービスは継続されるものの,ラインアップ上はニューファミリータイプにリプレースされた形になる。

ターゲットは総額1万円弱

 ニューファミリータイプの発表により,カタログに表記される回線速度は,東京電力や有線ブロードネットワークスのFTTHと変わらなくなった。しかし一方で,月額料金は従来よりも800円高い。この800円をめぐり,微妙な駆け引きがあるようだ。

 東電の提供するFTTH(ホーム)は,ISP料金や回線終端装置利用料などを合わせ,TTNetが月額9890円,So-netが月額9600円,@niftyは月額9900円。

 Bフレッツの場合は,月額料金のほかに「屋内配線利用料」(200円)と「回線終端装置利用料」(900円)が必要になるため(マンションタイプを除く),これらを加えるとニューファミリータイプは月額6900円となる。つまり,@niftyやSo-netが現行の接続料金(ファミリータイプ対応コース,3800円)のままでは,総額1万700円になってしまう。

 このため,NTT東日本は一部のISPに対して接続料金の引き下げを促したようだ。ISPに対して“要求”はできないが,「発表前にISPと話し合い,ターゲットとなる価格帯を伝えたのは事実」(同社)という。

 ターゲットとは,もちろんISP料金込みで1万円を切るレベル。ISPの動向は,対応コースが発表されてみないと分からないが,NTT東日本が東電との競合を多分に意識していることは間違いない。

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関連リンク
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[芹澤隆徳,ITmedia]

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